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最高気温から桜の開花予想をしてみる

桜が咲く季節になってきた。今年は例年よりも全国的に桜の開花が早くなっているらしい。東京は3月14日に開花で、平年より12日早い。大阪は3月19日に開花し、平年より9日早い。ウェザーニューズはこの原因を、「年末から1月前半にかけて度々訪れた強い寒気の影響で、桜の花芽の休眠打破がしっかり行われたことに加え、1月後半からも高温傾向でつぼみの生長が促されたと考えられます」と発表している。

桜の開花について、気候変動の影響が気になっているので、気温と何らかの関係があると思い調べてみたところ、「600度の法則」なるものがあるらしいことがわかった。これは、2月1日以降の最高気温を積算し、それが600度を超えた日あたりで桜が開花すると予想を立てる経験則らしい。


最高気温も、過去の桜の開花日も気象庁のホームページから簡単に手に入るので、実際にどのような傾向にあるのか調べてみることにした。東京、仙台、大阪、鹿児島の4都市について、2006年から2020年までの15年間を調べてみた。棒グラフが日最高気温を示しており、青いラインが積算の最高気温が閾値を超えた日、緑のラインが実際の桜の開花日を示している。

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これを見た限りだと、仙台と大阪については、誤差が概ね2〜3日の間に収まっており、よく予想ができているように見える。東京についても誤差はもう少しあるものの、大きな傾向は捉えられている。気になるのは鹿児島で、600度を閾値としたら全く予想が合わなかったので、750度を閾値として計算してみたが、それでも大きな誤差が残ってしまった。

同じソメイヨシノを見ているはずなのに、これほどの差がでるのはなぜだろうか。そもそも、鹿児島は東京より圧倒的に暖かいはずなのに、桜の開花日の平年値は東京都と同じらしい(3月26日)。つまり、この最高気温による予想は当たりやすい地域と当たりにくい地域があるらしい。たしかに、同じ場所に生えている桜でも、咲いている樹と咲いていない樹があったりするので、樹ごとの個体差もあるようだ。そして、2月1日以降の気温だけではなく、1月以前の気象も影響していると、ウェザーニューズのコメントは示唆している。そして、同じソメイヨシノでも、それぞれの地域の気候に合わせた進化を部分的にしているとも考えられる。同じ地域でも、川沿いの桜と公園の桜でまた違うかもしれない。

先日、用事で立川に行ったが、そこの桜は東京の区内に比べて殆ど咲いていなかった。先のような最高気温の予想を今年分でもやってみたのだが、東京区内と立川周辺では1日の差しか出なかったので、やはり最高気温以外の要因があるのだろうか。

自分は植物の専門家ではないのであまり深追いできないが、気象データでできることとできないことの境界が少しわかって、個人的には満足している。

先の分析でも実際の開花日でも、仙台では特に最近の開花日が早まっているように見える。最高気温による分析はある程度の予測ができるということであれば、今後の温暖化で冬の最高気温が全体的に高くなっていけば、桜の開花日はより今よりずっと早くなるかもしれない。しかし、実際にはそれほど単純ではないこともわかってはいる。私達が慣れ親しんだ桜の様子を見ることで、他の植物に対して気温の変化がどのように効いているのかも類推することができるかもしれないので、機会があればやってみたい。


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