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急増する洋上風力発電【国際ニュース01】

このシリーズでは、日本ではあまり報じられない世界のニュースについて紹介し、それに対する意見を発信していきます。最初のニュースは、世界で建設が増加している「洋上風力発電」についてです。

新設が増える洋上風力発電

世界風力エネルギー協会(Global Wind Energy Council, GWEC)によると、2019年には世界で6.1GW(ギガワット)の容量の洋上風力発電所が新設されたそうです。これにより、世界の洋上風力発電の容量は合計29GWになったそうです。

日本で最大の火力発電所である「鹿島火力発電所」の容量が約5.7GWであることを考えると、2019年には鹿島火力発電所と同程度の発電能力を持つ洋上風力発電が世界で建設されたことになります。

最も多くの建設をしたのが中国で、約2.4GWの洋上風力発電所を建設しました。江蘇省や福建省の沖合で多く建設されているそうです。次がイギリスで、1.8GW。こちらは遠浅の海である北海で主に建設されていると思われます。

現在、世界の洋上風力発電は、陸上の風力発電の9分の1くらいを占めています。2024年までにはさらに50GWの洋上風力発電が建設されると予測されており、世界中で洋上風力発電が人気になり始めたことがわかります。

日本の洋上風力発電

気になる日本ですが、わずかに3MWの1基だけです。北九州市沖で2019年5月頃から稼働しているらしく、特徴は「浮体式」であること。

世界で新設されている洋上風力発電のほとんどは「着床式」と呼ばれ、改定に直接構造物を埋め込んで建設されます。なので水深の浅いところにしか建設できず、水深60mくらいが限界らしいです。

領海及び排他的経済水域の面積では世界第6位を誇る日本にとって、洋上風力発電はポテンシャルの大きい発電方式として注目されていますが、日本の周りの海はとても深く、着床式の洋上風力発電が建てられる場所が殆どありません。例えば、東京湾から外側に行くと水深はもう100m以上になってしまいます。そのため、これまで日本では洋上風力発電は他の地域ほど利用されてきませんでした。

水深の深い海で唯一利用できる「浮体式」の洋上風力発電が長い間研究開発されてきましたが、ここ数年でようやく実証できるレベルにまで進歩してきて、ようやく日本が洋上風力発電を活用できる見込みが立った、というような段階です。

洋上風力発電は、国土が狭く海の広い日本では、最も期待できる自然エネルギーだと個人的に考えています。日本の電力需要は莫大な量なので、火力発電などの従来発電方式に対抗できるようになるのはまだまだ先かもしれませんが、温室効果ガスを減らすためにはなくてはならない発電方式だと思っています。近いうちに洋上風力発電についてもっと詳しく書こうと思っているので、ご期待ください。

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