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食べたかったラーメンを食べた

食べたいラーメンがあった。店の宣のやり方には若干の問題があるが、
豚骨醤油のそのラーメンは特に捻っていなくて、時々食べたくなる。
しかし職場からそう遠くない場所にあるにもかかわらず、なかなか行けない。遠くなくても通勤経路から大きく外れていると、ついおっくうになってしまう。そんなこんなでもう何年も行っていない。

しかし今日は違う。自由な時間があるのだ。十分に行けるだけの時間がある。しかも職場から自転車で行ける距離だ。とても秋とは思えない茹だるような暑さだが、屋台じゃあるまいし、冷房だって効いているだろう。今日こそは行くぞ!とシェアサイクルを借りて、昼下がりラーメン屋目指してペダルを踏んだ。

人形町にある甘酒横丁 起点は浜町明治座前

10分も走れば人形町に来られる。

人形町は江戸時代に浄瑠璃や人形芝居が行われており、たくさんの人形遣いが住んでいたからその名がついたと言われている。が、江戸時代初期は幕府公認の遊郭があり、吉原と呼ばれていたらしい。それが明暦の大火の後、浅草の裏、日本堤へ名前ごと移ったらしい。人形町は芝居小屋があった面影を残すような街並みになっているが、大門通りだけは遊郭があった名残らしい。らしい三段活用。

ちなみに「大門」は「おおもん」と読む。「だいもん」は港区芝増上寺だけらしい。そういえば、私の実家でも勝手口ではない門をおおもんと呼んでいたっけ。大きな「おおもん」を入り2〜3メートル先に妙に大きな玄関がある。グーグルアップのストリートビューでみせることができるんだけど、「お前んち、おっばけ屋敷ー!」ばりなのでやめておく。
ちなみに東京23区内ではあるが、きれいな戸建ての中で一際大きくお化け屋敷風な実家である。

で、人形町にあるラーメン屋に行ってきたのだ。
一杯500円という価格も今どきめずらしい。この酷暑と時間が多少ずれていることもあって、待つことなく席につくことができた。
ほうれん草トッピングを頼んで食べたかったラーメンが来るのを待つ。
ひさしぶりだなー嬉しいなー楽しみだなー、といろんな思いが交差する。
そしてほうれん草ラーメンがやってきた。

・・・・・・

正直がっかりだった。味が変わったと言うわけではない。
もちろんまずいわけではない。
しかし、私の知っている味ではなかったのだ。
なんていうか、何かが足りない。
お弁当屋さんの唐揚げが絶品だった。家でも作ってみたが、
なんか違う。何かが足りない。そんな感じだ。
麺を口にしたときもスープを啜ったときも、ほうれん草さえもそう感じた。
何かが足りないのだ。
ひさしぶりに会った仲間が別人に見えた感じというのか。

「お前、変わっちまったな」

人形町で恋焦がれたラーメンだったけど

こういうことって生きているとあるのはわかってる。
でもとっても残念だった。なかったことになってお腹も空いてるなら、
別のおいしいもので上書きするんだけど、そうもできず。
まあしょうがない。忘れて次へ進もう!

でもやっぱりくやしい。どこかで食べなくては。
しばらく豚骨醤油が私の脳内を支配するんだろうな。
というわけで、また明日。


いただけるなら喜んでいただきます。