パルメニデス(前5世紀)⑤ 消滅の否定・運動の否定
あるものは消滅するのか?
あるものが生成するということは、一つのルートが考えられる。
あるものからの消滅:ある→あらぬ
これは「あらぬ→ある」の生成が有り得ないのと同様である。
つまり「あらぬ」ことが理性をもって想定しえない以上、あるものがあらぬものになることはない。
そうなると、あるものが運動変化することも否定される。
運動変化は、次の二つのパターンが考えられる。
① あるものから、別のあるものに変化すること:ある→ある
② あるものが、あらぬもの(空虚なる空間)を通じて運動すること
①の「ある→ある」は、前回の生成の否定によって、既に否定されている。
②は、あらぬものの存在を肯定することによってしか肯定されないパターンであり、あらぬものは否定されているのだから、自動的にこのパターンも否定されるしかない。
つまり、あるものは、生成されず、消滅されず、運動変化もしない、ということになる。
ここから、「あるものは単一不可分」という結論が導き出される。
続く。
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