24.地雷復(ちらいふく)~春の兆し①

六十四卦の二十四番目、地雷復の卦です。
爻辞はこちらです。
https://note.com/northmirise/n/n3f510f02db38

24地雷復

1.序卦伝

物は以て盡(つ)くるに終わるべからず。剥すること上に窮まれば下に反る。故に之を受くるに復を以てす。

山地剥の卦で全て剥ぎ取られると、堕ちるところまで堕ちた、もうこれ以上堕ちることはなく、再び昇るときを待つのみ、となります。

堕ちること極まれば、必ずその反動がやってきます。冬を越して、一陽来復の時がやって来ます。だから山地剥の後には地雷復の卦が来るのです。

2.雑卦伝

復は反(かえ)るなり。

山地剥の上九の爻辞「碩果(せきか)食はれず。」にて爛熟した果実が地面に落ち、それが地中で腐敗しつつも芽を出して、再び地上に還り蘇ってきたのです。

3.卦辞

復は亨る。出入(しゅつにゅう)、疾(やまい)无(な)く、朋来りて咎无し。其の道に反復し、七日にして来り復る。往く攸有るに利し。

一陽来復の語源となっている卦です。上が坤の卦、下が震の卦、震の卦を五行に配当すれば木、草木の若芽です。長い冬を越して、若芽が萌え出でる兆しが現れるときです。

陽の気はほんの少し顔を出したばかりで、まだその働きを目にすることは難しい段階です。兆しを察知することすら難しい段階です。しかし、気付かないだけで、兆しは確かにあるのです。陰が勢力を伸ばす時代は終わり、これからは陽が少しずつ勢力を取り戻し始めるのです。

坤の卦は柔順であり、震の卦は躍動です。動くことは動くのですが、まだ力が微弱に過ぎるので、無理のないように柔順さをもって動くのです。それゆえに願い事は亨るのです。

出入疾无し、の出入とは、山地剥からの一連の流れを言います。陽の気が剥ぎ取られそうになり、実際に剥ぎ取られて、しばらく潜み、また再び現れてきた、という一連の流れです。かようにデリケートな渦中においても、陽の気は損われることなく、再び萌えてきたのです。陰の勢力はもはやそれを邪魔して害うことはないのです。それが「疾无し」です。

今はまだ初九のみですが、ここから陽の勢力は少しずつ増していきます。地沢臨、そして地天泰、と陽爻の数が増していきます。陽の仲間が増えていくのです。朋来たりて咎无し、です。

其の道に反復す、とは、まさしく十二消長卦の循環をいいます。七日にして来たり復る、とは、乾為天から数えて七回目にして地雷復に至ること。地沢臨の卦辞に「八日にして凶有り」とありましたが、要は陰陽の消長が果てしなく循環することを説いたものであり、数字自体にそこまで拘る必要はないのではないかと思います。

4.彖伝

彖に曰く、復は亨るとは、剛反(かえ)ればなり。動きて順を以て行く。是を以て出入疾无く、朋来りて咎なし。其の道に反復し、七日にして来り復るとは、天行なり。往く攸有るに利しとは、剛長ずればなり。復は其れ天地の心を見るか。


5.象伝

象に曰く、雷、地中に在るは復なり。先王以て至日(しじつ)に関(せき)を閉ぢ、商旅(しょうりょ)、行かず、后(きみ)、方(ほう)を省(かえりみ)ず。

雷の力、ないし草木の若芽が地中に潜み、これから地上に出ようとする兆しが見えている形が、地雷復です。

君子はこの卦をみて、陽気が初めて生ずる冬至の日には関所を閉ざし、商人や旅行者が行き来することを禁止して養生させ、自身も四方への行脚をすることなく、安静にしているのです。

6.繋辞下伝

繋辞下伝の第七章より抜粋します。

復は徳の本なり。

地雷復の卦は、あらゆる道徳が根本に立ち還る大本です。陰の勢力が消じ、これまでの禍を改めて正しい道に復するのです。

復は小にして物を弁ず。

復の卦は、今はまだ勢力の弱いものではありますが、物事の是非善悪をよく弁別して見間違うことはありません。

復以て自ら知り、

復の卦は、それまでの禍を改めて正しい道に復することによって、自分自身の如何なるかを知るのです。

7.十二消長卦


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