女王陛下のお気に入り/岬の兄妹
「女王陛下のお気に入り」
これはほんとに面白かった。
最後の最後までダレることなくずっと引き付けられながら観た。
ウィキにはコメディ映画などとあるが、めっちゃ頭つかうやんこれ。
政治の駆け引き・パワーゲームの面白さもさることながら、途中からずっと
・正論を言ってくるストレスかかるやつ・愛はある
・ウソをつく心地いいやつ・愛はない
さて、どっちをそばにおくの?
というね。すごく考えさせられる二択の間で女王がえんえんと揺れる。どっちを応援するかは視聴者次第だが、主役のエマストーンは後半はだいぶ悪の方に踏み込む。
女王はバカなのではなく、愛に飢え、安らぎに飢えているがゆえに、正しい判断と心地よい判断の間でずっと天秤をゆらしつづける。
歴史の物語ですけど、まったく古くないのは、いまの私たちもおなじようなジレンマの中で生きているからですね。
オスカーとった女王役のオリヴィアコールマンはレイチェルワイズより年下とは。。レイチェルワイズの見た目が若すぎるんかね。
「岬の兄妹」
これは、アリか無しかでいうと、自分は無しでしたね。
主役の兄貴は足が悪くて足をひきずって歩くんですけど、オープニングでその「ひきずってる足」をえんえんと映すんよね。
これがもうなんか、肌に合わないというか、価値観があいませんで、開幕から気持ちがそれる。
そうなるとやっぱり本編もなんか違うなあ、という感じで終始白けながら観ました。
身体障害者、知的障害者を出すなら、「ならでは」の視点ってのがやっぱ必要なんじゃないんですかね。
韓国映画オアシスでは、部屋でゾウがダンスしたり、木々の影に怯えたり。障害、というよりは、ハンディのない私たちが味わえない何かを味わいながら生きているわけです。
それが描かれてたかというと、どうもなんか違う。
チンピラみたいなのが出てくるんですが、「心などない悪魔」みたいないじめ方してきたりするんよなあ。
高笑いしながら蹴ったりしてくる感じ。
そういうテンプレートな「悪いやつ」を描いてしまうと、どうにも普通の視点からは出ていかない気がしてしまいます。
結局のところ、この兄妹のやってることが奇異でクレイジーなだけで、ごく普通の映画だったんじゃないすかね。
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