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東京国際映画祭 閉幕。

チケットとったのに何本か観に行けなかったけれど、今年も楽しかったです。ざっくり感想メモ。

「永遠の散歩」
ラオスの映画、というのは聞いたことがない。しかもSF&霊。
想像していたよりずっと知的で複雑で脳がつかれた。
個人的に、過去と現在が(それは同時に現在と未来が)つながっている設定というのは大好きで、ループに入ることも込みで愛しい。

「列車旅行のすすめ」
スペイン映画。気持ちいいぐらい吹っ飛んでて楽しめた。嘘とうんことゴミとセックス。列車が走る抗えなさ、一方向性と、映画が走るパワーがシンクロしていて心地よい。20年前の原作らしいけれど、原作者もティーチインに来てて「こんなもん、マジで映画にするんかよ」みたく呆れてたのも面白かった。

「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」
3年前のド傑作のエクステンディッドバージョン。遊郭で働くりんさんとのシーンが追加された。30分ぐらい長いのかな。
映画の完全版って往々にしてつまらなくなるもので、監督の思い入れが強い箇所が、観客からは「蛇足」だったりすることも多いので難しい。
片淵監督は、今回のバージョンで、すずさんの人生というものをより多面的に複雑に感じてもらえる、と言っていたが、さて、どうだろうか。
個人的には、前回、予算の都合でりんさんとのシーンがカットされたことは、結果的に良かったのだと思える。カットされたシーンは「描かれなくとも想像できる幅」に入っていたかと。作品の含み、分厚さ、余白をつくることに貢献していたのかと。
自分は今回の延長版では「うわー!そんな裏話があったのか!この追加シーンのおかげでより深く味わえた!」となるより「そうそう、そんな感じのこと、あっただろうねえ」という、想像していた背景の再確認、と感じてしまった。
作品の行間に注釈が付き、余白にたくさんの書き込みがされたイメージ。
それはそれで味わいはあるのだけれども。
「全く違う映画をもういちどつくる気持ちで作った」と監督は言ったが、それなら、もとのバージョンからいくつかカットしたほうがスッキリしたかもね。すずとりんと周作に光を当てるなら、他にはすこし遠慮してもらったほうがいい。

「i ー新聞記者ードキュメント」
期待値が高かった分普通だったけれど、やっぱしおもろい森達也作品。籠池夫妻が出てくるとことかずっと笑ってた。執拗にどら焼きを勧めてくる籠池の母ちゃんとか、狙って撮ってるとしか思えない面白さだった。
メイン被写体の望月記者の活動力といい意味での単純さが、疾走感のあるドキュメンタリーを生んだと思います。後半に謎の派手め演出があるのですけど、ティーチインで森監督から、毎回同じようなもの撮ってても面白くないから違ったことしてみた、との説明が聞けて、ああ、まあ、苦悶して迷走しているのではなく、遊んでるんだなあ、と納得できてよかった。
これ日本映画部門の作品賞を受賞しましたが、登壇して「近所にレンタルビデオを返しに行くような格好ですみません」とか言うてね、おもしろい。

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[2019.11.06 facebookから]

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