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映画「蜜蜂と遠雷」

いいものでした。
原作は未読。

監督の石川慶はデビュー作、愚行録の時から好きなんです。今回は愚行録と違って、クズ野郎オンパレードではないですね。

監督はポーランドで学んだそうで、愚行録のときはポーランドのカメラマン連れてきてた。今回もまた同じカメラマン。
あんま画のことはわからないけれど、確実に他の邦画と何かが違うんですよねー。それが良い。

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音楽の素養がないので、いろんなピアノ曲が出てきてもピンとこないのですけど、
中盤、月光を浴びながら月の光を弾き始める連弾シーンがめちゃくちゃ良かったです。月の光はなぜか知ってました。

この連弾シーンでは、ピアノの音以外に、風なのか、波の音なのか、ストーブの音なのか、よくわからない「ザーッ」っという音が重なって入る。
これがなんというか、きれいな感じにエロくてとてもよかった。
人と人とが隣り合ってピアノを奏でることで、何かが混線してしまうわけですけど、それがとっても良いことのように思える、とても素晴らしいシーンでした。

お話としてはそこまで複雑じゃない、いわゆるトラウマ克服ものなのかな。過去に置いてきた課題と、あらためて向かい合い、乗り越える。ってのは定番って言えば定番。

そこにコンクールが絡むわけですけど、じっさい、あんまこの人らが「世界的な天才」である必要ってあったのかなあ、と。
そこはあれすかね、凡人だと見栄えが悪いからなんでしょうかね。

正直、最後の順位は蛇足に思えた。別に、みんなが気持ちよく弾いたんだから、何位でもええし、ロッキー的には、負けてええやん、という気もする。試合には負けても、手に入ったものがあるわけですから。

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狂言回し的な役でブルゾンちえみみたいなのが出てきて、会話の中でいろいろ背景を説明してくれるんだけど、エンドロールに「ブルゾンちえみ」と見るまでよく似た役者かと思ってた笑

あとは、鹿賀丈史かな。
ちょっと中だるみしそうなタイミングで、後半の強キャラとして登場する。
料理の鉄人ばりの重厚な佇まいでかっこいい。
コンクール決勝では「アーレ キュイジーヌ!」と叫んで道場六三郎か陳建一を呼び出してほしかったですね。

※追記
連弾シーン

YouTubeにありました。
このシーンだけでもお金払えるわー。

この汚くないエロさを味わってみてください。

[2020.04.10 facebookから]

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