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映画「ブックスマート」

「ブックスマート」
糸は2点の映画でしたが、こっちは98点。今期最高に笑いました。

よいコメディにありがちなことですが、笑いながら泣けてくる、というね。
パラサイトも笑いましたが、あっちは考える系の笑いでして、泣きはしなかった。この映画は何か所か感極まり落涙しました。

booksmartとは、教科書どおりやってよい成績をとる人のことだそうで、日本だといわゆるガリ勉とか言われる感じの人々なんでしょうか。

高校生活を勉学一本に捧げ、いい大学に進学することだけが心の支えだった主人公が、遊び呆けてたやつも自分と同じかそれ以上の大学に行くことを知り
「ほな、わたしの高校生活はなんやってん!」
とブチ切れるところから映画が始まる。

「お前ら遊んでばかりいたのに、なんでええ大学いけるんや?!!」
とキレる主人公に
「遊び『も』やってただけや」
と冷静に返すパリピ。

もうのっけからハートをつかまれる。

「このまま卒業するわけにはいかねえ」
という明確なファイアが主人公の中に燃え上がる。

小さな一晩の出来事に、何年ぶんもの大きな冒険を仕込むのは物語の常套手段だが、こんなふうに見事に冒険が始まると、期待せずにはいられない。
そこからの中盤も終盤も怒涛のギャグとスピード感でいっきにドライブし、気づいたらその頂点で俺も涙を流していた。

やっぱね
うまくいかないことだらけなんよ人生
そんで、
失意のどん底で、
輝くものに出会うことがある。
失意のどん底で、
気づくべきものに気づく瞬間がやってくる。
どろ沼の底に宝石が隠れている。
そして、
自分の手足でもがき、
どうにかして自分を変えて、
前に進もうとしたときに、
その宝石は姿を現すのだと思う。

そういうね、大冒険のお話ですよ。

主人公、涙一粒しか流してないけど、それでええのや。

邦画を観てると、
(また泣いとるわこいつら…何回泣くねん…)
と白けてしまうわけですね。
涙の安売り。
そうじゃなくて、一粒の涙をどこで流すか
それが勝負やろ。

たーてのいとはあなた
よーこのいとはわたし
おりなすぬのはー
いつかだれかをー
あたためうるかもしれない

って、こっちの映画やで。

「糸」より「ブックスマート」のほうがよっぽど「糸」でしたね。
そういう意味ではふたつ連続でみてよかったと思いましたまる。


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