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「する」「見る」「支える」で作る体育授業

スポーツには、主に3つの関わり方がある。これらの中の一つでも欠けると、スポーツが成立しなくなる。もしくはスムーズに運営するのが難しくなる。
①「する」
プレーヤー。当然だが、プレーヤーがいなければ成り立たない。そして、スポーツの楽しさを最も味わえる関わり方である。

②「観る」
スポーツを観戦する人。
サポーター等、応援してくれる人達がいるからこそスポーツは成立している。人の心を動かすだけでなく、お金も動く。そうすることで、ビジネスとしてのスポーツも成り立つ。

③「支える」
審判、指導者、ボランティア、トレーナー、グラウンドキーパー・・・等々
スポーツを運営していく為に欠かせない存在ばかりである。「支える」無くして、スポーツは成り立たない。

これらを体育授業の中でも体験させたい。そうすることで、スポーツを「できる」「できない」という視点からだけでなく、多様な視点で関わることができるようになる。それが生涯にわたって豊かなスポーツライフを送ることに結びついていくと考える。
そのようにして、子供達が新たなスポーツの楽しみ方を見つけられるようにしたい。

合わせて、スポーツに対してどんな関わり方ができるのか?どうやればもっと上手くなるのか?自分たちで調べて知ることも大切である。

では、上記を授業の中で体験させるにはどうすれば良いだろうか?
まずは子供たちに、「する」「観る」「支える」のどれか一つでも欠けると、スポーツが成立し辛くなることを知ってもらうことが重要である。
審判がいないサッカー、応援してくれる人がいない中で走るマラソン、誰も手入れをしないグラウンドや用具・・・等々
子供でも容易に困る場面が想像できるのではないだろうか。まずは、子供の身近な場面から想像させたり、困った経験などを話題に出すと良い。
「する」以外の大切さを感じることで、審判や記録係、友達の応援等の必要感を感じて授業に取り組むようになる。
以下に、具体的な授業場面を例にあげながら「観る」と「支える」の視点での関わり方を記述した。なお、記述したような内容を始めから教師が提示するのではなく、子供自身に、関わり方を考えさせて、実践させるとさらに効果的である。

また、「する」「観る」「支える」の3つについて、単元の始めに目標を立てさせると効果的である。

◯ティーボール(高学年)
「観る」
・自分達の立てた作戦がどのように機能しているのか観察する。それを元に、チームメイトに助言をしたり、自分のプレーに役立てたりする。次回の作戦を考える際にも大きな材料となる。
・点数を記録する。
・応援したり、助言したりする。

「支える」
・審判をする。
・サードコーチャーとして、ランナーに指示を出す。
・用具の準備、片付けを行う。

◯ハードル走(中学年)
「観る」
・友達の踏み切り位置、着地位置を見て、助言する。
・友達の良くなったところを伝える。
・応援する。

「支える」
・用具の準備、片付けをする。
・友達のタイムを計る。
・スターターをする。

「なんだ、そんなことでいいのか。」「もうやっているよ。」という声が聞こえてきそうだ。
そう、多くの先生方は、普段から実践されていることがほとんどではないだろうか?
ただ、そこに「スポーツに関わっている」「自分の役割がないと、スポーツが成り立たない。」という意識があるかどうかで、その取り組み方が大きく変わってくる。

また、「する」「観る」「支える」という関わり方を知り、体験することで今後のスポーツとの関わり方も大きく変わってくる。スポーツを観ることやチームや友達の為に役割を果たすこと等に楽しみを感じられるかもしれない。いずれにしても、教師は、子供たちに、スポーツの多様な視点で関われることを体験させてあげられるようにしたい。

そして将来、スポーツ観戦でも、指導者でも、スポーツ用品の販売でも、多様な方法でスポーツに関われるようになってほしい。
それが、スポーツを発展させることにつながっていく。
 
 

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