留学は「行けばわかるさ」の気合で。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:プロレスラーの武者修行は一般人の留学にあたるのかもしれない。でも、一歩踏み出すことが尊いと考える。プロレスも人生も。
留学という海外武者修行
先日、プロレス&マーケティングの記事で、レスラーの海外武者修行について触れました。
さて、そもそも海外武者修行などという言葉は、今はわかりませんが、日本人の琴線をくすぐる響きがします。
海外っていうのは、日本人にとって”欧米”ですよね、そこで経験を得てくるっていうことは、すぐれた人や文化やモノに触れて立派になるはず、という暗黙の社会的合意があったように思います。
有り体に言えば、”欧米コンプレックス”です。
欧米に行けばば、箔が付くという考えは、まだ日本人に染みついているのではないでしょうか。
アメリカに留学してきた、などと言えば、すごいなと仰ぎ見られる、少なくとも一目置かれるのは、今も変わりません。
さて、確かにプロレスラーでない一般の日本人にとっても、留学は、いやおうなく異文化の中で格闘せざるをえませんから、”武者修行”にほかなりません。
では、プロレスラーにならって”海外武者修行”のメリットを考えてみましょう。
留学のメリット
一歩、日本を出てみる。僕はその気持が尊いと思うのです。
それがどんな理由であれ、日本を離れ海外に行く、という行為自体、チャレンジであり、好奇心に溢れている証拠。
多くの日本人は内向的で、それはそれで素晴らしいですが、外国に留学するという志自体が、日本人離れした冒険的感性があるといえます。
メリット1.不自由を体験して強くなる
言語の違い、習慣の違い、価値観の違いなど、生活することそのものが文化の相尅を乗り越える試練に満ちており、この経験はいやでもひとを強くします。
メリット2.ひとの親切の価値がわかる
留学すると必ず現地の人、そこに住む日本人、そして留学仲間から親切を受けます。
本当に助けを求めている時に、こうした人達から援助をされると、いかにそれがありがたいかが身にしみ、親切であることの意味を深く知ることになります。
メリット3.知的リミッターが外れる
多かれ少なかれ、それがどんな種類の留学であれ、その学習内容は英語で読み、話し、書き、プレゼンを要求されます。
日本人にとって最もとっつきにくい外国語である、英語を使って、この難事業を成し遂げなくてはなりません。
当然、日本では経験できない知的ハードワークを余儀なくされ、否応なくある種のあなたの頭脳活動を制限していたリミッターが外れる、のです。
メリット4.差別が存在することに気づく
欧米では、アジア人に対する差別が厳然としてあり、あなたはそれを必ず見聞きし、時に自分でも体験することになります。
日本にいれば、差別をする側にはなっても、されるほうにはなりません。
差別の現場を体験することによって、差別がいかに卑劣で、人間性のない行為かわかるようになります。
メリット5.日本食の本当の美味しさがわかる
留学体験者、長期海外滞在者はこう口を揃えます。
「海外に出て、日本食に飢えて初めて日本食のうまさがわかった」、と。
日本にいれば、「日本食に飢える」などという体験はできません。
しかし、本当に日本食など作れない環境にいれば、嫌でも飢えるのです。
日本食の飢餓状態で、ひとは、はじめて日本食のありがたさ、おいしさ、に気がつく、これは厳然たる事実といえましょう。
それがどうした、と読者のあなたはおっしゃるかもしれません。
しかし、日本食は日本人共通のアイデンティティなのです。
それは、日本人はコメという文化で育ってきたからです。
いくら日本人離れしたあなたでも、魂にはコメがあります。
それに気づいて、はじめてあなたは世界人になるのです。
メリット6.アジア人の友人ができる
白人の友人よりも、アジア人の友人ができることがもっぱらなのは、やはりアジア人同士のシンパシーが互いを引き寄せるからです。
あなたは、外国の地ではじめて、アジア人であることを自覚するのです。
非日常があなたを豊かに、強くする
ワーホリ崩れ、などという言葉を聞くことがあります。
ワーホリ、つまりワーキングホリデーなどで、海外でバイトをして暮らす若者が、英語が不十分だったり、働き先がなくなったり、金欠に陥ったりして、身を持ち崩すことを揶揄した表現です。
留学とは名ばかり、勉強もせずブラブラしている日本人もいないことはありません。
しかし、仮にそうであっても、一歩あゆみを進める勇気と好奇心はあなたに様々なものをもたらし、それがその後の人生の原動力になっていく、そう僕は考えるのです。
「何だ、全面的留学礼賛かよ、案外おめーはつまんねえな」
そうあなたに言われちゃうかも。
じゃあ、あしたは留学のデメリットについても書こうかな。
でも、最後にこの人のこの言葉を聞いてみましょう。
「この道を行けばどうなるものか。 危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし。 踏み出せばその一足がみちとなり、その一足が道となる。 迷わず行けよ、行けばわかるさ。」
野呂 一郎
清和大学教授