日経平均最高値、影の立役者としての観光。
この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:世界のホテルの現状とこれからどうなるかを検証し、日本の観光立国を考える。
ホテル客が変わった
この間京都に用事があり、ホテルに泊ったんです。
一泊1万数千円位のホテルで、ハイシーズンでないけど京都なら仕方ないかという値段です。
部屋が余っていたせいか、シングルがツインにアップグレードされており、部屋は大きく、清潔で、大浴場まであり、朝食も美味しく、フロントの対応も丁寧でした。
えっ、ホテルって、これでいいんじゃないの?
僕が感じた感想です。
要するに施設がよければ、お客さんは満足する、ということです。
いや、待てよ、昔はオレはもっとホテルに要求していたんじゃないか、フロントでチェックインしたら、係の人が荷物を持って部屋まで案内して、部屋の使い方をいちいち説明してくれたり。
コンシアージ(concierge総合案内)みたいなデスクがあって、観光案内や困ったことをなんでも教えてくれたり。
このクラスのホテルには、あったはずのサービスがないぞ、と思ったのです。
でも、同時に思ったんです。
「オレも含めて、今の客はホテルの人手不足の現状が分かっているから、無意識にフルサービスを求めてないのかもしれない」と。
またSDGs、環境フレンドリー化の影響で、連泊客にはランドリーサービスなし、アメニティ類はフロント前の棚からとるようになどのルールにも、近ごろの客は理解を示します。
ホテルサービス簡素化の動き
The Wall Street Journal電子版2024年2月27日号は、Hotel Staff Shortages Threaten to Push Travel Costs Even Higher(ホテルのスタッフ不足が旅行価格をさらに引き上げている)と題し、ホテル業界の深刻な人手不足を報じています。
この記事にも、先ほど僕が指摘した、ホテル客の変化、つまりお客さんもホテル業界の人手不足はよく知っているので、これまでのようなサービスを求めてないことが書いてありました。
記事の内容は以下です。
業界は信用が第一
以上はアメリカの例ですが、日本の旅行業界も他山の石とするべきです。
ホテル業界の人手不足は、やはり2019年のコロナでの大量解雇が大きかったように思うんですよ。
もちろんアメリカですから、経営者の都合で平時でもリストラは当たり前ですから、コロナだろうが地震だろうが経営が傾けば容赦なくクビを切られます。
しかし、生きる糧を突然に取り上げられた従業員は、その仕打ちを忘れていません。
こういうところ、日本の企業は余剰人員を子会社に割り振ったり、従業員を解雇しないように頑張りますよね。
従業員第一の姿勢こそ、日本のホテル旅行業界の基本だと考えます。
日経平均最高値、陰の立役者は観光
そして、改めて観光を日本経済復興の牽引役に位置づけることです。
日経平均最高値の影の立役者は、日本に来てその良さを実感した外国人投資家である、僕はそう思っています。
投資家は企業が富を生み出す原動力として、その国のインフラを見ます。
インフラとは交通機関、道路、電気水道だけではなく、人々が熱心に働いているかという、モチベーションも含みます。
ホテルだけではなく、どこに行っても日本人は丁寧で親切です。
来日した外国人投資家たちは、日本製品とサービスの品質を目の当たりにして、またそれを提供する人々の熱心さやチームワークに非常にポジティブな評価を与えるのです。
その意味で、観光を強化することは、日本経済を外から支える効果もあるのです。
日本が、真の観光立国になるためには、オーバーツーリズム(観光公害)の問題を解決しなければなりません。
これについては、また機会を改めて記事を書きたいと思っています。
野呂 一郎
清和大学教授
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