ロシア制裁で「経済合理性」というワードが消えたわけ
この記事を読んで高校生のキミが得られるかもしれない利益:世界のサプライチェーン大変革の現状。経済合理性という言葉が死語になりつつあるという驚くべき真実。これからは高校生も国際政治がわからなければ、経済も語れないという現実。
モノの流通の常識が
昨日もこのコロナ、地震、戦争でオフィスが変わるという話をしたんだけれど、それはオフィスだけじゃない。
企業活動、そしてキミの人生にもいやおうなく、変化の波が訪れつつある。
その根底は世界のサプライチェーン(モノの流通網)の常識が変化していることだ。
この常識が今や、まったく通用しなくなってしまったのだ。これらは、経済合理性に根ざした常識と言ってよかったのだが・・
そのきっかけになったのは、2018年に始まった米中貿易戦争だ。
The Wall Street Journalオンライン版3月26日号は、こういう見出して世界のサプライチェーンが激変しつつある現場を報道している。
(ロシアへの制裁、ウクライナでの戦争、そしてコロナがグローバルなサプライチェーンを変容させているSanctions on Russia, War in Ukraine and Covid in China Are Transforming Global Supply Chains)
エネルギーをどこからもってくるか
米大統領バイデン氏が、いまEUを訪問している。
その目的は、ただ一つだ。
ヨーロッパ各国が、いかにしてロシアにエネルギーを依存しないでやっていけるかの手助けをすることだ。
サプライチェーンの問題とエネルギー問題は別だが、エネルギーを原材料と考えれば、まさにエネルギーもサプライチェーン問題だ。
大事なことは、同盟国からしか、もう原材料もエネルギーも買えなくなった現実である。
高校生は世界の動きを注視せよ
日本政府は読めなかったのかね。
ロシアがウクライナに侵攻し、西側が怒って結束し、日本もそれに加わって、ロシア制裁に参加すれば、ロシアにエネルギーを頼っている日本は経済が悪化するってシナリオを。
キミは読まないといけない。
次は中国だ。
こういう具合に読めばいい。
要するに僕がキミに言いたいのは、いまは世界の大転換期だ、世界の動きを注視しろってことだ。
コスパという常識は消滅
エネルギーを含めたサプライチェーンは、変革を余儀なくされている。
どう変わるべきか、The Wall Street Journalはサブタイトルで、そのキーワードを教えている。太線の部分が大事なので解説入れるよ。
コスト効果。言ってみればコスパだ。資本主義の根幹だ。これが世界の物流でもずっと続いてきた。しかし、これがもはや機能しなくなった。
レジリエント。(resilient)。経済流行語だよ。辞書には回復力とか、弾力性とあるが、臨機応変な柔軟性という意味でいいだろう。サプライチェーンは危機に強い、柔軟なシステムであるべきという考え方だ。
蜘蛛の巣。サプライチェーンは合理的な目的地までの距離の短さとか、生産地から配達地点までの合理的な道順とか、安ければいいから中国ならどこでもいいとかの合理性はいらなくなった。結果として、めちゃくちゃの蜘蛛の巣でいい。
ロシアから輸入できない、災害で生産拠点が潰れた、コロナでドライバーが罹患、誰もいない。
政治や環境の激変によって、今や、経済合理性だけで企業活動はできない。
キミも社長になるなら、この現実を認識せよ。
これからの高校生は国際政治も語れないと
世界の変化を常にウォッチしないと、サプライチェーン戦略だけじゃなく、あらゆる戦略は構築できない。
日本という国家からして、世界の動きが読めてない。
キミはそうであってはならない。
今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。
じゃあ、また明日会おう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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