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マーケティング・メガトレンド①パーパス経営なんてカッコつけに過ぎない

 この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:流行りのワード、”パーパス”とは何か。2022年世界マーケティングトレンド7つの紹介。”パーパス経営”の虚実。これからのマーケティングの鳥瞰図。

世界7大マーケティングトレンドとは

さて、昨日予告したように、世界の最新マーケティングトレンドを紹介します。

このトレンドはデロイト(Deloitte)という世界的なコンサルティング企業が行った、2022グローバル・マーケティング・トレンドGlobal Marketing Trendsという大規模調査で発表されたものです。

調査はアメリカ、イギリス、オランダ、日本、フランス在住の1万1500人の消費者と世界のグローバル企業のCEO(最高経営責任者)、CMO(チーフ・マーケティングオフィサー)等の企業トップ1099人を対象に行われた極めて詳細で精度の高いリサーチです。

このデロイト・サーベイは、今後のマーケティングトレンドを次の7つと認定しました。

今日から、7つのトレンドを一つずつ解説していきたいと思います。

以下、英語の原文を載せます。日本語訳はわたしが勝手につけたものですが、こっちのほうがわかりやすいかもしれません。

       世界7大マーケティング・トレンド

1.パーパス(purpose 企業の存在意義)で成長にはずみをつける (Purpose a beacon for growth)
2.本物のインクルーシブ・マーケティングを実行する (Authentically inclusive marketing)
3.知的でクリエイティブなエンジンの構築する (Building the intelligent creative engine)
4.クッキーレスな世界でカスタマーに接する (Meeting customers in cookieless world)
5.“人間第一”のデータ経験をデザインする (Designing a human-first data experience )
6.ハイブリッド経験を高める (Elevating the hybrid experience)
7.カスタマー・サービスをAIでパワーアップする (Supercharging customer service with AI)

前掲デロイト・サーベイより

 パーパス(purpose)とは何か

でましたね、パーパス。

流行りのビジネス用語です。

日本語に訳すと”目的“となりますが、ビジネス用語では”存在意義“となります。

いろいろな定義があるのですが、Relultistというコンサルティングによれば、その企業がなぜいまそれをやっているのか、次に何をやるのか、将来どこに行くかということを、あきらかにするステートメント、です。

企業の存在意義、ということだと思い出すのが、ドラッカーの“顧客創造”ですね。

 パーパスがなぜこれだけ持ち上げられるのか

それは世界的な流れゆえ、です。

世界的に信頼のある年次レポート、エデルマン・トラスト・バロメーター2022(Edelman Trust Barometer 2022)によれば消費者の68%は、自分たちのパワーで企業を変えられると信じており、86%がCEOには社会的問題について態度をはっきりさせてほしいと思っているという結果が出ました。

社会的問題とは、皆さん御存知の通り、サスティナビリティとか、ジェンダーとか、人権とか、そういった社会を公平に、平等に、環境を良くしようという世界共通の関心事のことです。

消費者が企業に問うていることは、はっきりしています。

・より公平な世界を創造しようと頑張ってるか?
・炭素排出ゼロを目指しているか?
・消費者のプライバシーを守っているのか?
です。 

筆者

こういう現実に合わせて、企業も”自分たちの存在意義“を再定義する動きが急なのです。

自分たちのこだわりは何か、から戦略的な優先順位までを、時流に合わせて、いかにそれが自分たちの信念に合致しているかを言葉にする、それがパーパスといわれる動きなのです。

筆者暴言

価格と品質は健在だが

このデロイト調査がこだわったのは、人々がなぜ、その製品を買うのか、という点です。

化粧品から靴下まで8業種の製品について世界の消費者に聞いたところ、やっぱりというべきか、61%から86%までが価格と品質、と答えたんですね。

 しかし、この調査はここで終わらないんです。

年代別にも調べている。

25歳以下の消費者だと美容・パーソナルケア製品に関しては、“サスティナブル”という価値観を持った企業の製品を一番に買う、という結果が出ているんです。

これは未来の消費者が、サスティナブルでない企業の製品は買わない、と言っていることをはっきり示しています。

金融関係では、どんな銀行を利用するかという問いには、データのプライバシーつまり個人情報を守ってくれる銀行と答えた人が、4人に1人だったのです。

システムエラーばかり興す、みずほ銀行のような銀行は、将来性ないってことですよね。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fwatch%3Fv%3Dw-vWHC5vAF8&psig=AOvVaw3IUEQZgNHK6alYuZzLs7VA&ust=1645022719343000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwiVs_in-YH2AhUzRPUHHfLUAUEQr4kDegUIARDOAQ

BtoBつまり企業間取引でも、プライバシーを守れる企業が支持を集めました。

プライバシー保護のためのテクノロジーとソリューションを販売する世界のリーディング企業ワントラスト社(OneTrust)はプライバシー、セキュリティ、データガバナンス、リスクマネジメント、コンプライアンス、サードパーティリスク、倫理、コンプライアンスに関しての技術、ソリューションを販売していますが、優秀なプログラムを実行し、社会的信頼をオペレーション化することで、フォーチュン500に認定された半数の企業を取引先にしています。

パーパス経営は諸刃の剣


https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fstock.adobe.com%2Fjp%2Fsearch%3Fk%3D%25E8%25AB%25B8%25E5%2588%2583&psig=AOvVaw0UfyUD1sP2tuuLn8ooNyFD&ust=1645022165219000&source=images&cd=vfe&ved=0CIQBEK-JA2oXChMIgIWZqfeB9gIVAAAAAB0AAAAAEAI

 パーパス経営っていうのは、誤解を恐れずに言えば、そんなカッコいいものじゃなくて、ある種の世間へのすり寄りですよ。

 何か、パーパスをきれい事にように持ち上げる風潮がありますが、僕ははっきり違うと思います。

存在意義が何か、なんて、人それぞれ、企業それぞれじゃないですか。それに正解などない。

でも今世間が言っているパーパスとやらは、英語でいうところのsocial issues(社会的問題)に対して、ウチも社会的問題解決に熱心に取り組んでますよ、って姿勢を見せることなんですよ。

だから、パーパスはきれい事じゃないと、リクツが通らないってことになる。

 でもね、問題は、ウソでもいいんだけれど、本当に本気でやらないとやけどしちゃうよ、ってことなんですよ。

だって、プライバシー保護だって大変なことでしょう。

たとえやる気があったって、組織的な問題を抱えていればそんなのできっこないのは、みずほ銀行の度重なるシステムエラーが示しているとおりでしょう。

 だから、「ウチのパーパスは、社会正義を実現することです!」なんて、安請負をしちゃうと大変なことになります。

その覚悟があって、カッコいいパーパスで武装することに初めて意味が出てくるわけです。

明日以降、続きをやりますけれど、もうだいたい新しいマーケティングの概要が、鋭い読者の皆様はおわかりになりましたよね。

そうなんですよ、新しいマーケティングっていうのは、どうやって売る、価格戦略だとか、販売戦略だとか、ブランド戦略すら関係ないんですよ。マーケティングの前に、企業のスタンスありき、ってことです。

筆者暴言

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

では、また明日会いましょう。

野呂 一郎

清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー

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