トランプ復活はツイッター&フェイスブックとの違憲闘争に勝つこと
トランプは訴える相手を間違えている
よくアメリカからの報道で聞くのが、ファースト・アメンドメント(First Amendment)という言葉です。米国憲法修正第1項の意味で、言論、表現の自由を認めた法令です。
これを掲げて、トランプ氏がフェイスブック、ツイッター、YouTubeを訴えていることはご存知のとおりです。
先日私は、これはトランプ不利だ、との分析を出したのですが、
この記事は過去の判例を色々出していて、結果を見ると言論の自由がかなり守られているんですね、トランプ復活は無理と申し上げたのは、言い過ぎだったかも、です。
The Wall Street Journal2021年7月12日号オピニオン欄は、「トランプ、勝てる(Trump can win his case against tech giantsトランプは巨大テクノロジー企業との訴訟に勝つことができる)を掲げ、過去の判例を根拠に、トランプ勝利の予想を立てています。
アメリカの世論は、前回も申し上げたと思いますが、「トランプがまたバカなことを言っているよ、勝てるわけないだろ」というところです。
もう一つのトランプが勝てない理由は、米国憲法修正第1項が政府に適用され、私企業には適用されないという事実です。
それは当然ですよね、言論、表現の自由を規制するのは、国であり、私企業はそんな事ができるわけがないからです。
検閲問題はデリケート
しかし、近年のソーシャルメディアは、まさに国民が自由に発言し、表現できる場になっており、それに伴い発言、表現の規制がクローズアップされてきました。
いわゆるセンサーシップ(censorship 検閲)の問題です。誰がどういう基準で検閲するか、という問題です。ソーシャルメディア各社はそれぞれの内規や理念にしたがってこれを行っています。
いずれにせよ、この検閲は政府がやっているのではなく、企業がやっているのだから、トランプがソーシャルメディア3社を訴えても勝てないというのは正論です。しかし、この論文の著者によれば、解釈で勝てる、というのです。
トランプが勝つためにクリアすべき3つのハードル
どういうことか。トランプ側の解釈は「民主党の高官達がフェイスブック、ツイッター、YouTubeと”共謀“して、政権側が気に入らない情報を勝手にブロックしているから、この検閲の主体は政府である。よって、訴訟は成立する」というものです。
フェイスブックのトップで創設者のザッカーバーグ氏は。こんな事実を認めています。
同社はいわゆるコロナ起源説、武漢の研究所からウィルスが漏れたというような情報は、ミスインフォメーション(ニセ情報)として、ブロックしたことを認めた、というのです。この情報検閲は果たして公正、公平なものでしょうか。難しいところだと思います。
トランプ氏が勝つためには、過去の判例でいかに言論の自由が守られてきたかをアピールし、民主党とソーシャルメディア各社に共謀があったことを証明し、自身のこれまでの発言、表現がミスインフォメーションでなく、社会正義にかない、騒乱等を起こすものではないことを証明するという3つの大きなハードルをクリアしなくてはなりません。
しかし、トランプ氏が議事堂占拠の際に、扇動したという客観的な事実が、トランプ氏の勝利に大きなマイナスになったことは否めないと思います。
アメリカは自由を守り、結果トランプ大統領再び?
しかし、言論、表現の自由は自由の国アメリカの基盤であることは間違いなく、ファースト・アメンドメント違反でツイッターを訴えるという策は、トランプ氏らしいあざといやり方だなと思いますね。良くも悪くも。
ただ、この記事の著者は最後に、非常に重要なことを言っています。
1924年に米商務省長官のハーバート・フーバー(Herbert Hoover)氏は、当時のラジオ業界における企業の権力の集中についてこう警告したというのです。
「我々は一人の人間やグループが放送内容を検閲するポジションにいることを許さない。特にそれが公衆に放送される内容であるときは特にそうだ」。
記事はこう締めくくっています。
「この事件の100年後にトランプが提示した危険が再び起こっている。このトランプのケースは、この重大な問題を考えるよい機会である」。
いろいろ考えさせられますが、もしこの訴訟でトランプが勝ったら、2024年の大統領選はにわかにトランプ出馬→勝利のシナリオが浮上してくるでしょう。
前回私はトランプ不利、の分析をしましたが、訂正です。この訴訟いかんで、という条件をつけましょう。
さて皆様におわび方々ご報告です。
右手親指が腱鞘炎っぽくなっているので、少しお休みをいただくかも知れません。今日で72日連続投稿で、皆様に1日も休まないとお約束しているのに、申し訳ありません。投稿が滞ったら、手を休めております。
今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
近々またすぐお目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
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