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情報を時系列に並べるだけで価値が生まれる


スクラップで硫酸犯人の動機を暴け


高校生の皆さん、元気ですか!
さて、昨日はスクラップの話の続きだ。

スクラップとは何かというと、情報を時系列に並べることだ。

きょう、例の硫酸かけた犯人が逮捕されたが、例えば鉄道関係の事件の情報を集めているとする。キミは2000年から、昨日まで20年で100件の記事をスクラップしてある。それを時系列に並べるだけで、ある事実が浮かび上がる。性犯罪が増えたこと、転落事故が増えたこと。例えば、ね。

硫酸の犯人は、動機について口を閉ざしているが、スクラップした100件の記事を時系列で眺めていると、なにかヒントが見つかるかも知れない。

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田中角栄を追い詰めた”時系列のスクラップ”

今年なくなった”知の巨人”立花隆さんは、「田中角栄研究」という文春の連載特集でジャーナリストとして名前を轟かせたが、あれも情報を時系列で追っていったからこそ、角栄を追い詰められた。

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立花氏は、新聞にある「首相動静」という、首相の一日を追って記録するコラムをずっとスクラップしていたのだ。

そうすると、いつものルーティン的な行動が見られず、空白の時間がある一日の存在に気がついた。そこから、彼の推理と分析が展開していき、田中角栄を窮地に追い詰めたのだ。

情報を時系列に並べる、たったそれだけのことで、一国の首相が逮捕されてしまう。スクラップの威力がここにある。

時系列に情報を並べるだけで見えてくることは、時代の変化だ。

この間大学に久しぶりに行ったら、机の奥からThe Wall Street Journalの切り抜きが出てきた。

2011年の記事でタイトルがヨーロッパからの教訓(Lesson from Europe)となっている。内容を一言でいうと、社会主義的民主主義はもう機能しない(social democracy doesn’t work)だ。

しかし、今やこの概念は現代の流行だ。米大統領戦で台風の目になったサンダース上院議員の主張が、社会主義的民主主義だった。

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時系列に情報を並べるだけで、社会の変遷が手に取るようにわかる。

歴史が変化している実感がつかめるのだ、これはインターネットでは絶対に入手できない”情報“だ。これがスクラップの大きな効用だ。

重要なのはスクラップじゃない、「忍耐」だ


しかし、おそらく、こうした貴重な洞察を手に入れることができるのは、一握りだろう。

なぜならば、忍耐力が必要だからだ。

時系列でスクラップすると言ったって、2,3年の短いスパンでは、洞察は得られない。

やはり10年スクラップを続けて、社会や情勢の変化が記事の羅列の中から読み取れるのだ。

継続は力なりだが、noteを書き続けることもそうだが、スキャンをやり続けることも、相当な忍耐力が必要だ。

しかし、この忍耐がキミにもたらす果実はとてつもなく甘い。

ビジネスでは、差別化ということが盛んに叫ばれている。しかし、差別化は言葉で言うのは簡単だが、やってみせるのは難しい。


でも、スクラップをあるテーマで10年続ける。こういうことが本当の”差別化“なのだ。


地道なことを地道に永く続ける。そんな地味なことが、差別化の正体なのだ。


差別化とは、派手な思いつきとか、奇抜なアイディアではない。地味な忍耐である。

しかし、その忍耐はそのことに対しての好奇心、思い入れがないと続きはしない。言い換えれば愛である。

しかし物事に対しての愛、なんてなかなか生まれない。最初は無理矢理でもいいし、あざとい功名心だっていい、そしてこれを追いかけていけば俺は専門家になれるぞ、的な野心だっていいんだ。

とにかく、なにか一つのテーマを追っかけろ。

その際に絶対に必要なのが、スクラップなのだ。

まあ、こういっても誰もやらないだろうな。

そのくらいスクラップって穴場な、自分を驚くほど成長させる最終兵器だと思うよ。小説を書くのにも使えるしね。

今日も最後まで読んでくれてありがとう。

明日から続けられないかも

また明日会えればいいんだが、9月から大学の授業が始まる関係で、今日で100回連続して書いてきたけれど、継続が途絶えると思う。

今日の連載で、続けろ、なんて言っていたくせに情けないが、そんな事情で今後は毎日というわけに行かなくなった。

毎日書くと宣言したのに、だらしないな。
ほそぼそと続けるので、付き合ってほしい。
それじゃあ、またね。

                             野呂 一郎

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