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QRコード注文の店は潰れる?

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:タッチパネル式注文はもう当たり前だが、スマホのQRからの注文はちょっと違う。実際に体験したことで見えてきたものとは。

QRコード注文の恐ろしいワナ

今日東京駅の中にある、ある蕎麦屋さんに入ったんです。

そうしたら、テーブルに置かれた「このQRコードから注文して下さい」とビニールカバーに入った注意書きが目に入りました。

店の人が、入店客に「携帯電話で注文して下さい」とがなっています。

メニューもあるけれど、スマホでの注文しか受け付けないというプレッシャーをお客さん全員にかけています。

つい最近の拙noteで、書いたニューヨーク昼食事情と全く同じ光景が目の前で展開されていて、僕はちょっとショックを受けたのです。

お客ファーストではない

この強制QRコード注文は、ツッコミどころ満載ですよね。

1.人手不足はわかる。でも注文取りは、接客のカナメだろ

2.スマホが操作できない客は要らないっていうんだな

3.スマホの画面は小さすぎて、注文ミスが起こりやすい

4.スマホ注文は確認ができない、クレームが来ること必定

5.ソバ屋だろ?そばが主食の年配の客は排除でいいのか

6.QRコード操作というコストを客に負担させるという、客ファーストでない態度はいかがなものか

7.せめて自前のタッチパネルくらい創れないのか、スマホを使わせるという、店中心の態度が許せない

恐れていたことがおきた

スマホ初心者の僕は、QRコードを読み込ませるという初歩的なことさえおぼつかず、男の店員にやってもらいようやく、注文画面にたどり着きました。

でも画面が小さくて、チェックを入れても反応しません。

指が大きすぎたり、そもそもスマホでキー入力をやってないので、スマホがなじまず、ストライキを起こしている模様です。

それでもなんとか、注文が終わりました。

そこからが地獄の始まりでした。

恐れていたことが起こったのです。

ちくわ天そばの大盛りがきました。

でもよく見ると冷やしではないですか。

https://qr1.jp/zlU1K7

頼んだのは温かいそばだったはず。

でも見栄っ張りでカッコつけの僕は、「カスハラをやるクレーマーには絶対になるまい。ここは小さいことで文句いうのはやめよう」と、注文違いをわかりつつ、蕎麦をすすり始めました。

そうすると女将と思われる店員が来て「お客さん、温かいそばだった?」と聞くので、「いいよいいよ、気にしないで!」とものわかりのいい客を無理やり演じたのでした。

僕は結果的に正しくQRコード注文をしていたのです。

でも違うものが来てしまったのです。

ダメだよね、恐れていた上記3と4が起きてしまったのです。

注文くらいはアナログで取れよ

タッチパネルもそうですけれども、QRコード注文の恐ろしい罠は、「店員が注文を確認しない」ということです。

アナログ対応だったら、客に注文をさせたあと「ではご注文確認しますね。復唱します、えび天そば、唐揚げ、ビール・・」って必ずやりますよね。

https://qr1.jp/QrD3oo

でもQRコードでは自分で入力するだけです。

勝手に店が勘違いして、違うものを出してくる可能性は大いにあります。

確認しないからです。

馴れ親しんだタッチパネルならともかく、ちっちゃなスマホ画面では、入力するお客だって間違えます。

なぜ潰れるというのか

注文違いなど、どうでもいいのです。

僕が恐れるのは、客を大事にする姿勢が育たないことです。

人手不足はわかりますよ、でも、接客こそあらゆるビジネスの原点ですよね。

QRコードで客に注文させる姿勢は、お客ファーストではないことは明らかです。

なぜならば、現代のマーケティングは経験価値が中心だから、です。

食事をするという経験に、精一杯の価値を持たせなくてはならないのです。

経験という価値は、人間の出会い同様、ファーストインプレッションが大事です。

店に着くなり、お客に労苦をかけてQRコードをちまちま操作させることに、快楽を感じる客はいるのでしょうか。

逆にこうだったらどうでしょう。

笑顔を満面に浮かべたウエイトレスさんが、「ご注文をおうかがいします」、「おすすめですか?私はここの店の冷やしトマトが大好きなんです。群馬の無農薬で育てたトマトに、たっぷりのこれもオーガニックの玉ねぎがたくさん乗ってるんですよ!」。

そんなことを言って、一行と女店員さんが、食事の前に盛り上がる、なんて光景が展開されたら。

僕の目分量によれば、お客を注文取りだけで笑わせられるような気の利いた店員が注文を取ると、タッチパネル注文よりも、3割増の売上になることがわかっています。(笑)

冒頭でQRコードの欠点をあげつらいました。

しかし、損得を考えてもアナログ対応に軍配が上がると考えるのです。

なぜならば、QRコードは一覧性がないから、余計なものを頼むという客行動が抑えられます

メニューを読ませたほうがいいのです。

「あれ、こんなのあるの、姉ちゃんも勧めてくれたし、食べようか」という隠れた欲望を刺激するのです。

正直、その店は味もいまいち、でした。

僕に言わせれば、それが人手不足のせいであれ、何であれ、接客を中心に置かない、少なくとも大事にしない企業は、メインのサービスだって弱くなるでしょ、そりゃ。

お客を喜ばせようとする企業ならば、まずQRコード注文なんていう雑なことはしないですよ。

だから、当然味も雑になるんです。

野呂 一郎
清和大学教授



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