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アメリカ飲食サービス業のピンチとリモートワーク復活の意外な関係。

この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:アメリカ小売業特に飲食サービスの危機的状況の本当の理由。リモートワーク復活に対して、日米企業の反応が正反対の理由。なぜ、アメリカ人がリモートワークしか勝たん、って言ってるのに、日本人はオフィス回帰に賛成なのか。その5つの理由を解説する。

米飲食サービスの危機

ここはお昼のニューヨーク。

もしあなたが、ランチでも食べようそのへんの店に入ったら、十中八九、こうなります。

メニューはなし、テーブルの上にあるのはQRコードが書いてある厚紙だけ。

https://qr1.jp/39DpnO

そうです、QRコードにスマホをかざして、商品を選び注文をするのです。

人がいないんです。

同じサービス業でも、ヘルスケアとか観光は人が戻ってきています。

コロナで対人接触型のビジネスはほぼクローズとなったのですが、感染が収まりまた人が戻ってきました。

しかし、なぜ飲食サービスだけ、人が集まらないのでしょう。

以前noteに書きましたが、サンフランシスコのオフィスビルの空室率は空前の31.6%です。

ビル経営はもうやっていけないと、なかばゴーストタウン化したこの大都市から蜘蛛の子を散らすようにオーナーもいなくなりました。

飲食サービスに、サラリーマンたちが列をなす、なんていうことはもはや期待できず、わざわざ落ち目のビジネスに職を求めようとする人もいないのです。

リモートワークというパンドラの箱

なぜ、大都市からビジネスマン、ビジネスウーマンが消えたのか。

それはコロナが火をつけた、リモートワークのせいです。

仕事のできるアメリカ人に限って、コロナが収束しても在宅勤務を強く希望しており、逆に企業は彼ら彼女らをオフィスに留め置こうとして必死です。

落ち着いたところは、週2回出勤、あとの3日はリモートという、いわゆるハイブリッド型の折衷案でした。

中には、完全リモートじゃないと、会社やめるぞ、と企業を脅かす剛の者も多く、特にこの1年はアメリカ中、移住ラッシュが起こっています。

飲食サービスに人が集まらないのは、リモートワークが働くスタイルとしてアメリカ社会に定着したからなのです。

https://qr1.jp/t9PKST

コロナが、「在宅勤務でいいんじゃね?」というパンドラの箱を開けてしまったのです。

なぜ、日本はリモートワークがデフォルトにならないのか

アメリカがコロナが明けても、リモートだ、ハイブリッドだと言っているのに、日本は労使ともに「会社に戻ろう」というムードなのはどうしてでしょう。

僕は5つの理由がある、とみています。

1.貧弱な日本の住宅事情

特に大都会は、居住スペースが狭いです。

大量の書類や資料を広げて、パソコンを置いて仕事する十分なスペースが取れません。

2.夫婦がかち合うのがいや

共働きで、それぞれが毎朝会社に出かけて、夕方帰って来るという適度な非接触の時間があってこそ、夫婦がうまくいっていた。

リモートワークで二人はそれに気がつきました。

コロナが明けて、リモートを続行し、四六時中顔を合わせるのは、もう苦痛でしかありません。

ラブラブの夫婦でさえそうなのは、現代人は誰でも電子機器に閉じこもる習性ができて、自分の生活に一人の時間を強く求めるようになったからです。

3.結局、「社畜」だから

「しゃちく」と読みます。

これは昭和に流行った言葉なので、一応解説をしておきますと、社畜とは、会社の家畜、つまり会社の言いなりの、忠実なドレイ、ということです。

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社畜の顕著な特徴は「指示待ち」です。

上からの命令に従って動くのであって、自分から積極的に提案をしたり、改革を推進したりは、間違ってもありません。

社畜はあくまで他律的であり、流れに身を任せることが習い性となっています。

だから、上層部が「やっぱり、日本の会社は対面じゃなきゃ回らんよ」と言えば、「おっしゃるとおりです」とそれを唯唯諾諾と飲むのです。

4.社内で気を遣うのが仕事だから

日本のサラリーマンの仕事の8割は、上司のご機嫌を伺い、恭順の意を示し、部下にいい顔をし、八方美人いい人を演じることです。

ものを売ることで給与が決まる営業職はべつとして、フツーのサラリーマンは、仕事のパフォーマンスよりも、人間関係をうまくやることに心身をすり減らします。

それで評価され、出世が決まるのですから、当然のこととも言えます。

でもリモートワークに逆戻りしてしまっては、せっかく持ち上げて覚えがめでたくなったお偉方に忘れられてしまいます。

それより何より、出社せず家に閉じこもったら、何をやっていいかわらずに右往左往するだけなのです。

そもそもリモートワークっていうのは、具体的な期限と最終納入製品の具体的なイメージがなければ、成立しません。

特に中間管理職の仕事は人間関係をうまく転がすだけで、うまくやっているふりをするだけなので、リモートワークだと自己証明レゾンデートルができず、自分を失ってしまうのです。

5.集中力がないから

日本のオフィスワークは、しょっちゅう邪魔が入ります。

そもそも、個室がなくてタコ部屋(雑居大部屋)で、プライバシーがないところにもってきて、上司が監視し、仲間があなたの箸の上げ下げをチラ見します。

https://qr1.jp/b5HdEk

やっと書類が上がりそうなときに、上司に呼ばれ取引先のところに急遽行け、と言われたり、後輩が関係ない仕事の相談に来たり、だれも電話をとらないから応対したら苦情を言われ小一時間クレーマー対応したり、落ち着いて一つの仕事を完遂することができません。

これはあなたのせいじゃなく、仕事の設計が悪いのです。

組織が個の仕事を集中して効率よく完成させる、という意識がまるでないのです。

いきおい、仕事ははかどらず、残業が増え、残業も邪魔が入るので、皆がやっといなくなった午後8時から2時間でガーッとやって10時に会社を出る、毎日。

こんなオフィス生活を10年もやっていると、集中して仕事をする、という気力やリズムがなくなってしまうのです。

いざ、在宅で静かな環境になったから、集中して仕事ができるかというと、できないのです。

仕事のじゃまばかりされてきた悲しさ、あなたは環境のいかんにかかわらず、集中して仕事ができないからだになってしまっているのです。

とまあ、勝手な見解を述べましたが、リモートワーク云々は別にして、そろそろ日本企業も、個が集中して快適に仕事ができる仕事とオフィスの設計を考え直したほうがいいんじゃないでしょうか

えー、だから、結論として仕事の目的意識と集中力が旺盛なアメリカ人がリモートワークを好むのは当然で、目的意識などなくなんとなく周りに流される社畜の日本人は、オフィスという犬小屋が好きなのは、当然、ということになりますね。

でも、こんなnoteを読んでいる、あなたはリモート派でしょ、知ってるって。(笑)

野呂 一郎
清和大学教授



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