マルチ商法に引っかかってみる

日本には実に多様なマルチ商法がある。有名な連鎖販売の会社以外にも、上だけが儲かる機構やグレーな仕組みは大量にある。もし今の20〜30代で「自分は遊び人だ」と言う人で、一度もマルチなどの誘いの話を自分や友達含めて聞かない。という人はよほど鈍感、真面目か、あるいは田舎の幼馴染だけなど限られたコミュニティでの付き合いしかないのでは、というくらいだ。

裏を返せば、誰でも人生で1度以上は詐欺やマルチの誘いの話がやってくると思ってもいい。

どんな人が被害に遭いやすいのか


マルチにひっかけやすい人、つまりターゲットはどんな人かというと、実は頭の悪い人ではない。よく考え、学んで前向きに取り組む社会的に評価の良い人たちだ。

「自分は凡人だ、バカだ」と思っている人は、被害に遭いにくい。そういう人は自分では判断ができないため、必ず何かしら助言する者が身近にいる。

マザコンや宗教家でなくとも「パートナーにすべて決めてもらっている」とか「社外でも上司の言うことを重視する」などの真面目な人々の少なくない数が、自分の考えはどうせ大したことないと思い込み、自分で考えることに自信がなく放棄し、必ず助言を得てから判断する。

こういう自分はおそらくバカだと思い自信がない人々はマルチには誘いにくい。

なぜなら内容を聞く前から全否定して、そもそも儲けとか生活レベルの劇的向上などの話に乗らないようにすることを徹底しているからだ。

主なターゲットは頭がいいと思っている人


一方で、自分は頭がいいから大丈夫だ。経営にも詳しいしマルチなんて逆に論破してやる。みたいな人が一番やりこめやすい。

マルチ勧誘のキモは思考させずにハンコを押させる対高齢者の内容と異なり、「否定的な考えでも、考えさせたら勝ち」と言えるくらいだ。さらに、稼ぎたいとか社会でいずれ成功したい。と思っている人であれば成功率は非常に高い。そしてそういう考えを持つ人は、自分はバカだと思ってないことが多く都合がいい。

マルチ勧誘は嘘がない


アホな勧誘をしている者も多数いるものの、まともなマルチなら基本的に嘘はないどころか真っ白だ。本当のことを言っていることが多い。
そこが単なる黒い行為や高齢者に対する搾取とは異なる点だ。

嘘もなくホワイトだからこそ、余計にタチが悪い。訴えることもできないし、商法上は問題が全くないからだ。怒りをどこにぶつけることもできない。

本当のことだけを話して騙す方法は多種多様である。
その手法は広告のプロでもすべて把握している者はほとんどいない。

一部、簡単な例を出すと「BさんはビリでAさんは優勝した」というのと「Aさんはビリから2番目でBさんは2位だった」というのは全く同じ意味である。AさんとBさんが2人で走ったとしたら、どちらも嘘偽りはない。

しかし聞いた側の取り方としては全く印象が異なるだろう。
時間や場所、内容を切り取って説明するだけでも意味を180度変えることができる。

いかようにも魔法が使えるので、言ってしまえばマルチの勧誘はどんなに頭が良くても、その場の説明を聞いただけでは相手とこちらの情報格差から、すべてを見抜くことは不可能だ。

100の情報を知っている人が説明し、それを全く知らない人が聞けば、どんな嘘でも本当だと思うしかない。

例えば医者が診断をわざと間違えたとしても、患者はそれが正しいかどうかなんて分からないだろう。だからセカンドオピニオンというものがあるのだが、残念ながらマルチの勧誘にセカンドオピニオンなんてものはない。

自分が情報を集めに集めて、あるいはその組織の中に入って長年情報を得て、つまり自分が医者にならないと真実を見抜くことはできないのである。

結局、頭がいいと思っている人は納得してしまい、最初から話を聞かない、うまい話をする人はすべて悪い奴だと最初から全否定の頭が空っぽにできる人だけが生き残るようになっている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?