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「テントウムシ警部補の事件簿」

 死体が発見されたという通報を受け、テントウムシ警部補は現場に向かった。害者はスズメ娘。道端で倒れているのが発見された。第一発見者はカカシタロウと言って親の金で暮らす、仕事のない三十男だった。テントウムシ警部補は被害者のスズメ娘を調べることにした。そこを通ったハンケツの男に聞くと、カカシタロウとスズメ娘が過去、交際していたことを聞き出すことができ、テニスラケットでゴルフの練習をしているカカシタロウになぜそのことを隠していたか、と聞くとカカシタロウが「だって、僕が小学校の頃ですよ。しかも、付き合っていたのは、スズメ娘ではなくスズムシ娘です。彼女は知りません」と答えたので、とりあえず犯人として捕まえた。すると諦めたのか、カカシタロウは自供した。「たしかに、スズムシ娘と付き合っていたとき、その親友のスズメ娘によく似た女の子のことを可愛いと思っていました。それをスズムシ娘には嫉妬されたものです。それでスズムシ娘とは、三日で別れました。それ以来、スズメ娘に似た女の子とも喋った思い出もありません。それが、動機だったのかもしれません」

 部下のミミズ刑事がそこへやってきて、こんな情報を伝えた。

「カカシタロウには犯行時刻、畑に立っているカカシと喋っていたというアリバイがあります。そこを通りかかった村人が、『物も言わない単なるカカシに話しかけている変な人が怖くてお茶をこぼしたのを覚えている』と言っていたいと目標を語ったので、これはたしかな情報です」

「それは本当か。単なる目標であって、実際に目撃したわけじゃないんだな」

「ええ、それと、死んだと思われていたスズメ娘は、実は昼寝をしていただけらしく、起き上がって自分の家に帰りました。今ごろ、テレビを見ているはずです」

「しかし、見てみろ」とカカシタロウは指差す。カカシタロウは反省をして、頭を丸刈りにし、罪を償う決心をしたとその青い頭を下げた。「このように犯人はいるわけだ。急いで被害者を探すぞ」

 テントウムシ警部補は被害者を探しに町へでた。するとそこに倒れている孤独王を見つけた。

「君か、カカシタロウに殺されたというのは」

「ん? 何の話だ」

「とりあえず、署まで同行願おう」

 孤独王は、「女の子にふられて、生きる気力をなくした」と主張したが、テントウムシ警部補はそんな供述は信じなかった。

「そんなはずはない、きみは犯人の供述通り殺されたのだ」

「そうなのか。でも、そう言われると、たしかにそうだった気がするぞ」

 テントウムシ警部補は、孤独王が本当に殺されていると言う証拠を得ようと彼を病院へ連れて行った。しかし診断結果は「生きている」。

 事件は暗礁へと乗り上げた。

にゃー