玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ  木下龍也 岡野大嗣

玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ

高校生男子がふたりいて、彼らがそれぞれ自分の思いを歌っているという構成だ。
ことさらに青春を歌っているだけではない。
なにげない日常。忘れてしまいそうな毎日の小さな出来事や思いつきを、それこそ玄関の覗き穴から差しこむ光のような言葉で歌っている。

平日のイオンモールをきみとゆく嫌いな奴の名を言い合って

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平日ということは学校をさぼっているのか、それとも授業がすべて終わった夕暮れ時のことなのか。僕は前者だと読んだ。わざわざ「平日」と切り出しているところに昼間とか日中とかを想起させるからだ。
「きみ」は異性か同性かわからない。どちらでもいい。ここは読み手の自由だろう。
嫌いな奴の名前を言い合うところがいい。
それはふたりだけの秘密のミーティング。

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