ノリユキ

本を読む パンクロックを聴くやうに

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最近の記事

妖怪について語る時に我々の語ること

柄にもなく私は愛について考えている。 愛とは何か。 酒は呑んでいる。もちろん。 しかし頭は妙に覚醒している。 ピエール瀧くらい覚醒している。 愛、とは何か。 わからない。 考えてもわからない。 考えれば考えるほど、わからなくなる予感すらある。 だけどこれだけは云える。 この本は愛に満ちている。 私は親しい人間を誘って芸術の森に行った。 今年の暑い夏。6月だったか。7月だったか。 狙って行ったわけではないが、ちょうど水木しげる展をやっていた。 とてもツイていたと思う。 小学生の

    • たこ八郎の姿勢

      買えばいいんだけど経済的な理由と自分の部屋の物理的な事情により、図書館で本を借りることが多い。 好きな短歌や俳句、そして最近一気にのめり込みつつある川柳に関するこれらの本がもっと読みたいと思う。 好きな作家を見つけて過去の作品を読みたいけれど、図書館に置いてない事が多い。やはりジャンル的に限られた人が読むイメージがあるのだろうか。 でもイメージだけで図書館側が蔵書を選んでいるとはあまり思えない。 何か他にも理由があるような気がしている。 そんなことを考えながら、ジュンクや紀伊

      • みんなのつぶやき 万能川柳 8本目

        最高運勢の姓だったからこそ今の旦那と結婚出来たのかも。でもそのせいで姓が変わり、最高の運勢ではなくなったというこのパラドックスをうまく川柳にまとめた。 ジェームズ・ブラウンが時に滑稽に見えるのは、彼がいたって真剣だからだ。別に聴衆を笑わせにかかっているわけじゃない。 部屋の中にいつの間にか紛れ込んだ一匹の虫を捕まえようとやっきになってるお父さんは、家族を守るためとはいえ、やはりどこか喜劇人めいている。 きっと何年も経ってから娘が、息子が、その風景に思い出し笑いをする。 い

        • 本物の読書家

          狂ったようにエアコンをつけて 9月だというのにもったいぶってる。 夏目漱石の千円札が懐かしい。 どんなことをしても欲しかったやつ。 でも手に入らなかったやつ。 マッカラーズさんは、書くことは神に会うことと 教えてくれたけれども、そいつはどうかな。 学校をサボって映画を観たい。まるで。 もうこの時間から今夜の月を楽しみにしている。 あとであのひとに電話をしてみよう。 電話料金が落ちなくて、止められてなければの話だけど。 その前に服を脱いでシャワーを浴びて、そうめんを茹でなきゃ

        妖怪について語る時に我々の語ること

          ブコウスキーに救われた夜

          20代の頃克服出来なかった山に、苦手意識こそ感じてはいなかったけれども無意識に距離を置いていたのは確か。 けれどいつの間にか自分にとって大事な大事な、とても大事な存在だと気づく。 文字通り「いつの間にか」だ。 そんな山がいまだっていくつもある。 ということは、いま感じている険しい山も10年後20年後には知らず乗り越えることが出来るかもしれない。 あまりうまく想像は出来ないけれど。 ともあれ「あきらめないで」とか「頑張って」などと奥歯をくいしばって、 拳を強く握りしめたおぼえは

          ブコウスキーに救われた夜

          はじめからそこに存在していたもの

          三蔵法師に連れられて、わたしは旅に出た。 どこに向かうのかは知らない。 彼は目的地について何か話してくれたかも知れないが、わたしは覚えていない。その内容をすっかり忘れてしまった。わたしは忘れっぽいのだ。なんだかむつかしい話だったような気もする。それを後半は、嚙み砕いていたようにも思える。 目的のその場所が、果たしてほんとうに実存するのかどうか、それも判然としない。しかし彼の話すことには信憑性があったし、何より彼自身が持つその魅力(=カリスマ性)が、何故かわたしを惹きつけた。そ

          はじめからそこに存在していたもの

          豪快な三振を見せてくれ

          男はオオカミなのよ。氣をつけなさい。 見てくれがどうのじゃないのよ、注意しなさい。 しかし心は清純な場合があるのよ、往々にして。 モテるとかモテないとかの基準は、単純に割り切れるものじゃないのよ。 金持ちだとか、頭がいいとか、目安に出来ないものよ、たぶん。 優しいだとか、気が利くだとか、あまり関係がないのよ。 器用だとかギャップだとか、地位や名誉はリストの中に入らないのよ。 エアコンを消して窓を開けること。 意味もなくうろうろと動くこと。 女の子だってそう。同じ。 好かれよう

          豪快な三振を見せてくれ

          図書館に響くこだま

          人妻で、元女教師である。 謎のベールに包まれていながら、文章がおもしろい。おまけに少しエロティック。 巧い、上手い、美味しい。 魅力的なファクターをふんだんに散りばめていながら、それでいて謙虚でかつ、優しい面も見せる。 好きになる人も多いだろう。私もそのひとりだ。 男性女性問わず。男性女性以外の性別も問わず、好かれるタイプだと思う。 燃え殻、爪切男、こだまさんと、最近読んでいる作家のラインナップだが、私はきっとどうかしている。 1522425

          図書館に響くこだま

          余白の効果、あるいは注23

          【マンドラゴラ】 マンダラゲとも呼ばれる茄子科の植物。古くから豊穣の象徴。強精・催淫の効果ありとされた。絞首刑または首吊り自殺で死んだ男の性器から精液の落ちた所に生え、その根が人の形に似ていて、抜こうとすると叫び声を上げるという俗説がある。 1512424

          余白の効果、あるいは注23

          夜の、海の中で書いたメモ

          やること全部やりました。つって、一日を強制終了させれば毛布のある場所へ思い切りダイブ! あやうく首の骨を折りそうになるけれど、なんとかセーフ。すべてセーフ。 今日もわたくしは嘘を吐きました。と懺悔室で告白するもあわれキリストはクリスマスの日まで「おやすみ」。 コンパネでつくった舞台にセロファンで照らす照明。 わたしたちはまた踊る。 誰に頼まれたわけじゃないけれど。 わたしたちは踊る。 それが踊りに見えたらの話だけれど。 夏の海がなつかしい。 砂浜を、理由もなく走ったっ

          夜の、海の中で書いたメモ

          洗脳

          わかったようなふりをして、わかったような気になって、わかったような言葉使いで人をあやつり洗脳し、気がつけば本当にとりかえしのつかない事をしてしまった「有謬の者」ども。 木に成る果実をもいだ瞬間、その罪は始まっていたのかもしれないけれど、それでも何とか立ち直ろうと試みてもいたはず。 一歩すすんで二歩さがっていたのかもしれない。 翻って己を見れば、もいちど人生をやり直したいか。そう問えば、否。 むしろ現生において一度リハーサルをしたかった。 一度ならず二度も三度も。 此処ではな

          無口な毒

          不条理は芝居ならば楽しんで見るけれども、これがいざ現実世界で起こるとなれば話は別だ。まるで洒落にならない。 しかし往々にして加害者の側はそれがフィクションなのかそれとも生身の人間が生活をしている現実なのかの見分けがつかない。自ら芝居と銘打って舞台に上がり、その妄想だか何だかわからない世界にどっぷりはまり込んで抜け出すことも抜け出そうとすることもしない。 彼らの罪に対して法的な最終処置はさておき、ことそういった現象において起承転結があるのかどうか。私はあるようには思えない。疑っ

          どうして旅に出なかったんだと友部正人が俺に云う

          正直に、出来るだけ正直に生きようと元旦に決心するも、三日と持たないやさぐれた根性の持ち主である為覚えず地に膝をつく。 今度こそ、今度こそと、奥歯を食いしばって立ち上がるが、基礎体力が皆無なのだろう。くじけるのも早い。 もう開き直って独りで独楽を廻す路地裏で見えたものは天啓。 夕焼けのような天啓。 旅に出るんだ。その声が聞こえる。 いや、ほんとうは前から聞こえていた声だ。 その声に耳をふさぎ、聞こえないフリをして、何も見ないフリをして、一般ピープルにまじって嘘や悪態をつい

          どうして旅に出なかったんだと友部正人が俺に云う

          ブレイクロック

          これはたとえ話じゃない。 わたしはたくさんのコンプレックスを抱えている。 わたしは絵を描くことができない。 下手のレベルが尋常じゃないのだ。 だから絵の上手なひとがいれば、うらやましいというよりも 不思議な気持ちになる。なぜそのような(絵をうまく描くという)芸当が出来るのかと。 ラルフ・アルバート・ブレイクロックという名の画家を教えてもらった。 「月光」という名の作品。 その絵画の、小説の中においての解釈とでもいうのか。それに触れてひどく驚いたとともに、たとえその絵画に言及

          ブレイクロック

          シリーズを貫く背骨

          性的マイノリティの人物に対して、意識的な態度は無用。 どんなことがあろうと、相手がどのような属性であろうと、 自分の「やり方」に忠実である。 たとえ反感を買おうが解雇されようがおかまいなくして。 いっぽんの図太い背骨が貫く生き様は痛快ですらある。快感ですらある。 1452418

          シリーズを貫く背骨

          考えない、ということを考える。

          考えない、と彼は云う。 「身体感覚」は大事だと私も思う。 それは瞬間、こうであればよいな、ということを、 頭で思うまえに身体(しんたい)で認識することではないだろうか。 その瞬発力を鍛えるために、 考える。 動く。 忘れる。 また考える。 の、くりかえしでやがて、 「ひらめく」。 その感性をたいせつにして生きること。 その光を逃さないように注意深くリラックスすること。 そんなことを考えながら、私は今朝も、ゴミを出しにいく。 きょうは燃えるゴミの日なので。 144241

          考えない、ということを考える。