半世紀ぶりの落合恵子に、タイムトラベルした夜。
■半世紀ぶりに聴く、あの人の声
エルヴィス・プレスリーの
「Can't Help Falling In Love
(好きにならずにはいられない)」を聴いた後で、
「しみじみ聴いてしまいますよね」
と
正直な気持ちを語った、
私の世代で言えば“レモンちゃん”こと
落合恵子さん
(先日の『ラジオ深夜便/夜のしおり』)。
ラジオでは、恐らく半世紀ぶりくらいの
再会だった。
そして確かにプレスリーの歌声は、
その夜の湿った空気と共に
この胸に沁み込んだ。
■それは、遠い遠い、学生時代
プレスリーの歌声に寄せて、
落合さんは、
自身が10代の頃、
「Can't help ~ing」と
「Can't stop ~ing」という
「~せずにいられない」を意味する
二つの英語表現を
洋楽を聴かせながら教えてくれたという
英語教師の話をしながら、
「遠い遠い昔、学生時代です」
と、さらりとしたノスタルジーを
込めながら懐かしんだ。
私にとっても学生時代は、最早遠い。
■未来から、そしてあの日へ
あるいは、
「政治家になりたい」と綴った
静岡県の小学生のポストを読んだ
ときの彼女は、
「あなたが政治家になるころ、
私たちはいるのかな、と
思ったりしますが」
なんて、素直に容赦ない年齢の壁を認める。
*
これも、もちろん同感なのだが、
いつの間にか私は、
プレスリーの歌声に聴き入る現在と
遠い学生時代に思いを馳せる過去と
年齢を重ねて老いていく未来を語る
彼女のキャンディみたいな
声に耳を傾けて
タイムトラベルしながらも、
あの頃、深夜のテスト勉強中に
「セイ!ヤング」を聴いていた
中学生の自分になっていた。
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