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会社でポッドキャストを始めたいと思ったら「この4人」を集めよう

「今盛り上がるポッドキャストを会社でもやってみたい」「ポッドキャストをブランディングに活かせないか?」という人に、その「Day1」にできることをご紹介します。

ポッドキャストがブランディングに不可欠な存在に

今、個人的に熱中しているポッドキャストですが、日本でも少しずつ「ビジネスに活用しよう」という動きが出てきています。

ポッドキャスト市場は今、業界再編の真っ只中。Twitter、アマゾンのような大手プラットフォーム企業がスタートアップを次々と買収。

Spotify、アップルなどはオリジナルコンテンツを制作すべく、著名人と独占契約を結び、熾烈なシェア争奪合戦を繰り広げています。

そうしたプレミアムなコンテンツだけでなく、音声広告課金機能など、小規模なクリエイターの収益化を実現する環境整備も加速中。

今年「クリエイター・エコノミー」が確立し、彼らによって「耳でコンテンツを楽しむ」という新たな行動様式が浸透していくとみられています。

消費者、特にコンシューマ市場のボリュームゾーンとなるミレニアル世代、Z世代の集まる場が変わるとなると、企業も無視できません

すでに、「声」が持つその人の個性や人柄を伝える不思議な力で「4.4倍」もの宣伝効果があるといった報告も出ています。

そんな中で、いちメディア消費者、あるいは企業のマーケターとして「会社でもポッドキャストを始めたい」と思っている人もいるのでは?

会社でポッドキャストを始めたい場合、まずなにから手をつければいいでしょうか。番組を立ち上げること、台本を作ること・・・?

そうした制作活動も大切ですが、個人ではなく会社として、なんらかの目的を持って運営する場合、おすすめしたいのは「制作体制」を作ることです。

具体的には、次の「4人」の人を集めるといいでしょう。

一人めは「プロデューサー」です

会社がポッドキャストを始める意味、つまり、その目的やビジネスとして必要な投資対効果を提示し、お金など社内のリソースを集める人のこと。

ポッドキャストにかぎらず、メディアやコンテンツを作るには時間など相当のコストがかかります。その投資を怠ればいいコンテンツは作れません。

そのため、会社の課題、それに対してポッドキャストが貢献できること他のマーケティング施策との相乗効果を考えられる人が必要でしょう。

二人めは「ディレクター」です

プロデューサーが運営の責任者だとすれば、ディレクターは制作の責任者。従来の文字メディアでいう「編集長」と言いかえてもいいでしょう。

先ほどの目的を果たすため、どんな番組を作ればいいか番組を成長させるためになにをすべきかを考え、実行する制作チームをまとめる人です。

この人に、ポッドキャストだからこそ、特に求められるのは「キャスティング力」と、番組あるいはエピソードの「構成力」です

文字メディアに比べ、ポッドキャストは出演する人の個性人柄より濃く直接的にオーディエンスに伝わります。

また、スマホで耳だけで「ながら聴き」することも多いという特性上、文字メディアとは異なる高度な構成が求められると言っていいでしょう。

社内の魅力的な人を発掘できる社内人脈と、声だけで人を惹きつけ続けることができる演出の技術、またデータを分析して行う改善力も求められます。

三人めは「インタビュアー」です

会社のポッドキャストの場合、スポットライトを当てたい社員の方を、だれか他の人がインタビューする形式をとることも多いです。

しかし、ポッドキャストのインタビューは文字メディアのインタビューとは違います。そのため、インタビュアーに求められる力も変わってきます。

文字メディアの場合、インタビュー自体は非公開で、その後時間をかけて、執筆や編集が加わり、コンテンツが完成します。

しかし、ポッドキャストはインタビューそのものがコンテンツ。つまり、ライブパフォーマンス。発する言葉すべてがオーディエンスに伝わります。

さらに、通常のインタビューは1時間から1時間半かけて行われますが、それを15分や20分、長くても30分など、短時間に凝縮する必要もあります。

そのかぎられた時間で、読者の心をつかみ読者の悩みや知りたいことを簡潔に代弁してインタビュイーから早々にメッセージを引き出す

おそらくこれは、今までインタビューのプロとしてコンテンツの制作に携わってきた人にとっても、新たにトレーニングが必要なことのはずです。

最後、四人めは「ミキサー」です

これは、インタビュー音声など、音源の録音編集マスタリングの作業、またそれに必要な技術を選定し環境を整備する役割を担う人のことです。

今は「Anchor」などポッドキャスト配信アプリの機能が高度化し、アプリ上でも簡単なトリミングなど編集を行うことができます

しかし、それでも今なお難ありなのは「音質」の問題です。

特にソーシャルディスタンス下でリモートでインタビューを行う場合、双方の録音・通信環境が違えば音質に支障をきたすことも。

それを防ぐために、機材など必要な環境を整え、それでも損われてしまう音質をGarageBandなど音源編集アプリで高めるには専門性が必要です。

あなたはどれを担う・・・?

さて、今日ご紹介した4つの役割を、4人で分担する必要はかならずしもありません

例えば、プロデューサーとディレクターを兼任できる「マーケター」タイプの人もいるでしょうし、ディレクターとインタビュアーを兼任できる「しゃべれる編集者」タイプの人もいるでしょう。

すでに個人でポッドキャストを運営している人の多くは、これら4つの役割を、明確には意識していなくともすべて一人で担っていることになります。

この4つの役割の中で、自分の興味やスキル、リソースなどを踏まえ、どこにフォーカスするのか他にだれを巻き込むのか、考えてみてはいかがでしょうか?

編集者/Livit代表 岡徳之
2009年慶應義塾大学経済学部を卒業後、PR会社に入社。2011年に独立し、ライターとしてのキャリアを歩み始める。その後、記事執筆の分野をビジネス、テクノロジー、マーケティングへと広げ、企業のオウンドメディア運営にも従事。2013年シンガポールに進出。事業拡大にともない、専属ライターの採用、海外在住ライターのネットワーキングを開始。2015年オランダに進出。現在はアムステルダムを拠点に活動。これまで「東洋経済オンライン」や「NewsPicks」など有力メディア約30媒体で連載を担当。共著に『ミレニアル・Z世代の「新」価値観』『フューチャーリテール ~欧米の最新事例から紐解く、未来の小売体験~』。ポッドキャスト『グローバル・インサイト』『海外移住家族の夫婦会議』。


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