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コロナ禍で幸福度を高める「6つの行動」デンマーク幸福研究所の調査結果から【ポッドキャスト番組『グローバル・インサイト』文字起こし】

海外のトレンド、若者の間で生まれる新しい価値観を、各国で暮らす編集者・ライターがお届けするポッドキャスト番組『グローバル・インサイト。この番組ではリスナーからの反響が大きかった人気エピソードの文字起こしをnoteで配信しています。

今回はコロナ禍で幸福度を高める「6つの行動」デンマーク幸福研究所の調査結果からの回を文字起こししました。

ウェルビーイングに関する調査を行うデンマークの幸福研究所が先日、昨年4月から7月にかけて調査・作成した「コロナ時代の幸福」に関するレポートを公表しました。

このレポートは、コロナ禍で人びとがどのような状況下にあるときに孤独を感じやすいのか、それによる幸福度への影響などを紹介。さらに、コロナ禍で幸福度を高める「6つの行動」も推奨しています。今回はその詳細をお伝えします(出演:岡徳之 / 写真:Jimmy Dean on Unsplash)。

コロナで孤独を感じているのはだれか?

ウェルビーイングに関する調査を行うデンマークの幸福研究所が先日、今年4月から7月にかけて調査・作成した「コロナ時代の幸福」に関するレポートを公表しました。

このレポートには、コロナ禍で人びとが感じる孤独、不安、それらによる行動や症例、幸福への関係といった結果が含まれます。

この調査から導き出されたのは、コロナ禍でも幸福度を高める「6つの行動」でした。今回はその内容をご紹介します。

今回の調査は、今年4月から7月の3カ月間、3,211人を対象に最大6回の調査を実施し、北米・ヨーロッパ・中東など、97カ国から12,000件の回答を得たものです。

4月から7月と言えば、多くの国でロックダウンが実施され、レストランやリラクゼーション施設、映画館などは営業停止、学校も休校などの措置が取られていました。

それを踏まえたうえで、この調査ではまず、だれが特に孤独を感じているのか、が分かったそうです。

それによると、大学生を中心とした若い人たち(18歳から24歳)の孤独感が非常に高い。これはおそらく、休校措置が大きく影響していることが予想されます。一方、35歳以上になると、孤独感の度合いは大きくは変わりませんでした。

性別で見てみると、女性のほうがわずかに孤独をより感じているようです。

雇用形態別では、無職の人が32%、学生が28%、失業中の人が25%、一時解雇中の人が22%、フルタイム職の人が20%、パートタイム職の人が18%、孤独を感じている、と。

このことから、今回のレポートでは、オンラインであっても、会社の同僚などとの社会的な接触が、孤独感を緩和する可能性があると指摘されました。

だれかと一緒にいればいいわけではない?

また、人びとの暮らし方と孤独感との関係性も調査しています。

それによると、お互いに親密な間柄であれば、同居する人数が増えるにつれて孤独感が低下する。

しかし、そうではない場合、2人以上になると孤独感が逆に増している

また、子どもと一緒に暮らす場合では、同居する人数が4人になると一気に孤独感が増すんだそう。興味深いですね。

婚姻状況と孤独感との関連性も見られました。

例えば、独身の人は、3人以上で暮らす場合、実は1人で暮らすときよりも孤独感が高まる傾向にあるそうです。同居しているのに、意外ですよね。

つまり、この結果から、単純にだれかと暮らすということが、その人の孤独を防ぐわけではない、ということが分かります。

そして、この調査では、人びとにとって最大の心配事は「経済危機が長期化すること」ですが、実際に人生の満足度にもっとも影響をおよぼすのは、そうではなく、「愛する人を失うこと」

幸福度にもっとも影響を及ぼすのも、また、孤独であることが分かりました。

コロナ禍で幸福度を高める6つの行動

では、冒頭でもお話ししましたが、人びとはどんな行動をしたときに、幸福度、生活満足度が高まるのか。

研究所が推奨する「コロナ禍で幸福度を高める6つの行動」を紹介したいと思います。

まず、一つ目は、15分以上、野外を散歩すること。いろんな行動がある中で、もっとも人びとの生活満足度をアップさせたのは散歩でした。

二つ目は、制作活動に熱中すること。絵を描く、編み物、DIY、料理、ガーデニングといった活動は、だれかと密になることなく、1人でもできることが利点。そうした制作活動を定期的に行うことで、生活へのモチベーションを維持することが可能だそうです。

三つ目は、短時間の瞑想をすること。呼吸や環境音などに注意を向けて、「今この瞬間」を感じることで、開放性、受容性、好奇心などを高めることができる、と。

瞑想と聞いて敷居が高く感じた人は、まずは自分の呼吸に集中したり、慣れたら公園のベンチに座って、風の音や鳥の鳴き声に耳を澄ましてみたりしても、いいかもしれません。

四つ目は、困っている友人や家族に手を貸すこと。他の人に手を差し伸べることで、自分自身の幸福にもプラスの影響があることが、今回の調査で分かりました。と同時に、自分に助けが必要な場合には、それを周囲に知らせることも重要だそうです。

五つ目は、親しい人たちと連絡を取り合うこと。パンデミック時は、親しい間柄であっても頻繁に会うのは難しいですが、それでも友達や家族とメッセージや電話のやりとりをすることが幸福度を大幅に高めてくれるそうです。

そして、最後、六つ目は、定期的な運動を維持すること。運動は、体の健康だけでなく、精神的な健康にとっても重要だそう。今寒い冬ですし、リモートワークで通勤の必要もなくなっていますが、定期的に屋外に出ること、運動することを心掛けたいですね。

以上が、デンマーク幸福研究所が推奨する、コロナ禍で幸福度を高める6つの行動でした。外出規制などで大変な毎日は続きますが、生活の中で、できることから取り入れてみてはいかがでしょうか?

編集者/Livit代表 岡徳之
2009年慶應義塾大学経済学部を卒業後、PR会社に入社。2011年に独立し、ライターとしてのキャリアを歩み始める。その後、記事執筆の分野をビジネス、テクノロジー、マーケティングへと広げ、企業のオウンドメディア運営にも従事。2013年シンガポールに進出。事業拡大にともない、専属ライターの採用、海外在住ライターのネットワーキングを開始。2015年オランダに進出。現在はアムステルダムを拠点に活動。これまで「東洋経済オンライン」や「NewsPicks」など有力メディア約30媒体で連載を担当。共著に『ミレニアル・Z世代の「新」価値観』『フューチャーリテール ~欧米の最新事例から紐解く、未来の小売体験~』。ポッドキャスト『グローバル・インサイト』『海外移住家族の夫婦会議』。


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