【読書感想文】睡眠こそ最強の解決策である~PART1~

寝つきが悪く睡眠の質を向上させたいなというきっかけで、睡眠の本を探していたところ、この本にたどり着きました。PART1~PART4の4パートに分かれている本ですが、今回はPART1の内容について紹介したいと思います!

所感

 睡眠の重要性を眠りの仕組みの観点から説明する内容になっています。睡眠を医学的な観点や実験に基づいて、わかりやすく説明されています。

寝る時間と起きる時間を決める2つの要素

 睡眠は「概日リズム」と「睡眠圧」の2つの要素によって、リズムが作られています。

概日リズムとは?

 概日リズムは、人間の体内時計としてシグナルを出しています。このシグナルは脳の全ての部位と体内の全ての臓器に信号を出しています。人間の体内リズムは24時間15分程度とされています。人間は太陽を浴びることで、体内時計を24時間にリセットすることが出来ます。体内時計をリセットするのは視交叉上核という部位が担っています。また、概日リズムによって、夜型や朝型があります。朝が弱い人がいたら、夜型の概日リズムなんだなと思ってみてください笑

視交叉上核の役割は?

夜になった時にメラトニンを分泌するように指示を出します。メラトニンが全身に送られることによって、眠りにつくタイミングをコントロールしてます。あくまで、睡眠を発生させる脳の部位をスタートラインに誘導させるのが役割です。メラトニンは夕暮れから数時間後に増え始めて、午前4時ごろにピークを迎えます。そして、朝の時間帯になると、減少しきっています。

 時差ぼけは体内のリズムが外の世界と狂うことで発生します。太陽の光を浴びることで、リセットされて徐々に外の世界と体内時計のリズムが合うようになります。しかし、視野交叉上核は1日につき1時間しかずれを直すことが出来ません。そのため、生活リズムが崩れた場合、寝だめによって1度に改善することはできないのです。

日ごろから生活リズムを整えて、規則正しい生活をすることが大事なのです。時差ぼけを直すために、メラトニンサプリを飲むことで改善することが出来ますが、服用には注意したうえで使用しましょう。

睡眠圧は?

 脳内ではアデノシンと呼ばれる化学物質が睡眠を促しています。アデノシンは起きている間は常に増加し続けます。こちらは昨今話題の睡眠負債を示す物質でもあります。

 カフェインは睡眠圧の信号を遮断する効果があります。あくまで、遮断するだけなので起きてる間は、睡眠圧は増え続けます。そのため、カフェインが切れると睡眠圧が大量に押し寄せて、一気に眠たくなります。カフェインは摂取してから30分後にピークを迎えます。そして、カフェインの半減期は平均して5~7時間になります。そのためカフェインを完全になくすためには10~14時間かかってしまいます。コーヒーは朝の一杯に抑えておくことが良いと言えるでしょう。

眠気のピークについて

睡眠と覚醒は概日リズムと睡眠圧の差分によって決まります。差分が大きいと眠たくなり、差分が小さいと覚醒状態になります。そのため、差分が最も大きくなるので、午後11ゴロになるため、夜なると眠たくなると言えます。徹夜していると、昼前頃に眠たくなることを経験したことがある人もいると思います。これは、睡眠圧は増え続けてますが、一時的に概日リズムと睡眠圧の差分が小さくなることで、覚醒状態になってます。そのため、また夕方ごろになると一気に眠気が襲ってくるのです。

アデノシンは大体8時間程度の睡眠をとると一掃されます。そのため、睡眠負債がなく、健康的な生活をするためには8時間の睡眠生活を維持できると良いでしょう。

レム睡眠とノンレム睡眠について

睡眠状態とは?

寝ているときも、五感が捉えた知覚は、常に脳に送られてきます。しかし、寝ている間は視床と呼ばれる部位に知覚をブロックするバリケードが築かれ、はじき返されます。

寝ているときは時間間隔が喪失します。起きたときに何時なのかがわからなかったり、夢の世界の時間が実際の世界よりも長くなっている感覚があると思います。夢を見るレム睡眠の間、記憶の再生スピードが半分から、4分の一になっているためです。

レム睡眠とノンレム睡眠の役割

レム睡眠は眼球運動が激しい状態にありますが、ノンレム睡眠は眼球が動かない状態の睡眠です。睡眠には記憶をセイルする役割がありますが、ノンレム睡眠とレム睡眠でそれぞれの役割があります。

ノンレム睡眠では、情報を整理するために短期個億を長期記憶に移管させる役割があります。深いゆっくりとした脳波が「ファイルを移動する」という役割を果たしています。

レム睡眠では、情報を統合化していくことで、ひらめきや問題解決に繋げています。外部からの情報は入ってこないため、脳内の情報処理を行って、情報を結び付ける役割をしているのである。

眠りによる進化

睡眠リバウンド

徹夜した次の日はいつもより睡眠時間が長くなることがあると思います。この前日に足りなかった睡眠を取り戻そうとする現象が睡眠リバウンドです。そして、ノンレム睡眠のリバウンドの方が激しくなります。しかしながら、日を追っていくと、レム睡眠の方が長くなっていきます。どちらの睡眠も必要不可欠な物であり、順序が違うということなのです。失われた睡眠は一度に取り戻すことが出来ないため、日ごろから整えた睡眠生活をすることが大事である。

人間の睡眠と人間社会とのつながり

人間はもともとは二相睡眠の生き物であり、昼寝で30分~60分、夜に7~8時間ほどの睡眠をとる遺伝子になっている。しかし、工業化の社会になっていくことで、生活リズムが人間本来のリズムから外れてしまったのである。

人はレム睡眠によって発展した社会を築けたと考えられる。レム睡眠は記憶のぶつかり合いによって、創造力のきっかけを生みだしています。また。情報全体を纏めることで、全体像の意味を理解することが出来ます。レム睡眠は精神面とのつながりも強く、十分なレム睡眠をとることで、認知や創造性、EQが発達していきます。創造力と精神面が他の生き物よりかも進化したことで、複雑な社会システムを実現することが出来たと言えます。

年齢と睡眠の関係性

睡眠と成長過程

 睡眠は人間の成長過程に強く結びついています。幼少期はレム睡眠が多くなります。これは、レム睡眠は創造力を生みだす役割を担っているため、脳の発達に大きく影響を与えると言える。レム睡眠が少ない赤ちゃんや妊婦がアルコールを摂取している場合、レム睡眠の時間が奪われてしまいます。実際にレム睡眠が短い子供は発達障害や自閉症になる人が多くなっています。

思春期はノンレム睡眠が多くなります。これは、思春期は思考方法が発達する時期であるため、情報を整理する役割を持つノンレム睡眠が必要になるためです。また、10代は夜型の概日リズムになるため、眠くなる時間が変化することで、夜更かしが長くなると言えます。

 高齢者は概日リズムが早くなります。また、ノンレム睡眠と関りが強い脳の部位の劣化があります。そのため、睡眠の質が下がることで、認知症に結び付きやすくなると言えます。


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