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文学フリマ香川1で買った本

2024年7月28日
高松シンボルタワーで開催された文学フリマ香川1。

出店者側の私はワンオペのため、当日ふらっと見ることはできないな…と思っていたので、事前にWebカタログをチェック。

なんとか気になっていたブースはほとんど訪れることができた。

読んだ感想をここに綴っていこうと思う。


①『60×2分歩かない』
 (てくてく日和さん)

「御朱印帳のような作りになっています。気を付けて読んでくださいね。」

「はい、私これ欲しいです……。」


デザインの話を聞いて、即決だった。


直島を1周するのに120分。

その120分の間、何を思い、何をし、何を感じたのかが詰め込まれている。

ベネッセハウスミュージアムにある作品の一つがきっかけで生まれた今作。

そして、「静かになった夜」は生活者でなければ過ごせない。

深夜の静寂

生活音

普段は気付かないことにも気付く。


「歩くことを人生の歩みとかけ合わせている」

あとがき より


自分の力で掴み取ったもの、自分の目で見たものは少なくとも信じられる。自分の力で歩くしかない。そして辿り着いたもの、得たものは確実に自分のものになり、きっと自分に成っていくのだ。

あとがき より


直島で得られた出会い、経験、知識がこの作品に込められている。

三杉さんが書く文章の表現は奥深く、丁寧で私にはないな……と思った。

凄い作品に出会ってしまった。


②『#高知の歩き方』
 『お手紙エッセイ』
 (#高知の歩き方さん)

表紙、可愛い。素敵。

「転校生」のエッセイ、グッときた。


おばあちゃんに関するエッセイ2つ、涙を堪えながら読んだ……。


『お手紙エッセイ』も良かった。

おばあちゃんについて書かれたものを手に取ったのだが、これもまた良かった。

個人的に手紙が好きなので、こういう形でエッセイを書くという発想が思いつくのが凄い。


③『文学講義三十二巻 梁山伯 萌芽』
 (香川大学医学部文学部さん)


関東に住んでいる私にとって、文学フリマ香川でしか出会えないかも!と思ってチェックしていたブース。

読んでいて、とても面白い!
そして読みやすい!


恋愛の話は、いくつになってもワクワク、ドキドキする。学生最高。


④『野鳥はチョコレートパフェのゆめをみる、というゆめをみる。』
 (LIKEさん)


表紙、好きです。

特に心に残った部分をここで紹介させていただく。


平皿に板チョコを並べて眠ったら朝にはパフェにならないかしら

チョコパフェのうた より 



放課後限定苺トッピングサービス

好きです。


デザートのミントの葉は避けません
てっぺんの真っ白なホイップクリームごといただきます

纏いたいのは より

私も真似してミントの葉、食べてみようかしら……。


⑤『路』
 (BOOK遍路をつくる会さん)


アートブックのような、短歌と絵画が一緒に楽しめる素敵な本だ。


踏ん張った先の涙が綺麗なら荒波にさえ感謝する夜

好きな短歌です。この表現ができるの、凄い。


本棚の向こう側からチラチラと気づかぬふりに気づくあの人

くぅ〜〜痺れる!


⑥『家に帰ると電気が止まっていた』アンソロジー
 (さしす文庫さん)

最初から面白い!どんどん読みたくなる。
気持ちいい。

誰しも「家に帰ると電気が止まっていた」ら、焦るはず。
シチュエーションが想像しやすく、それぞれのストーリーに感情が入りやすかった。

読みやすい分量で、これまた良い。


⑦『ページをめくれば、そこは異世界。』
 (若竹庵さん)


表紙買いでした。

お迎えした後にファンタジー小説と気付くほど、中身は見ずに購入。

個人的にファンタジーが好きなので良かった〜。


短編集でサクサク読める。

そして一つ一つのストーリーが面白くて読み応えがある。

自分がエッセイを書いていることもあり、文学フリマで小説を購入することはほとんどなく、今回新鮮だったのだが、買って良かったと思える一冊。

今後もチェックしよう。

文学フリマ東京39でご挨拶できたらいいな。



⑧『わたしの移住歳時記』
(かくえき亭&書肆ミモザさん)


noteで時々拝見していた優木ごまヲさんのエッセイを、この度お迎えさせていただいた。

まえがきを読んで、
「歳時記」ってそういう意味か…、と自分の知識の乏しさに気付き(笑)

季語とエッセイをかけ合わせている、面白い構成になっているなと感じた。

好きなところから読んでみて下さい、と記載がされていて、優木さんの優しさを感じる。


香川県の地図があって、ありがたい!

どこに何市があるのか全然分からなかったので、じっくり見た。

ちなみに私の祖母が住んでいる市は香川県の西側にあると知ることができた。


好きなエッセイをいくつか紹介させていただく。

わたしたちは日々、たくさんのものを失い、同時にたくさんのものを得ながら生きている。今年の春、あなたが失ったものは何だろう?新たに得たものは何だろう?変わらないものは何だろうか?

「春」より

その他の春をテーマにしたエッセイも好きだ。


夏の「団扇」のエッセイを読んで、丸亀市の特産品「丸亀うちわ」について思いを馳せた。

文学フリマ香川1の出店者や来場者へ贈られた協賛品の中に、この特産品である「丸亀うちわ」が…!

当日他の出店者さんのSNS投稿を見て、この団扇が特産品であることを知ったのだが、大変ありがたい。

これからも大切にしていきたい。

四国扇子株式会社さんの協賛品


「扇風機」に書いてある、ことでんの車両についてはなるほど〜と。

京浜急行について書かれている部分は面白かった。扇風機のついている車両とか、猛スピードで通過駅に進入することとか、「あるある」と思いながら読んでいた。
(馴染み深い路線なため)


地方に住むということは、諦めること、自分には関係なさそうな(大都市の)情報を除外するスキルを身に着けることなのかもしれない。

「美術展覧会」より


秋、「大判焼」に書かれている関東と関西における食文化の違い、特に関東はしょっぱい味が、関西では甘い味が好まれる内容は面白かった。

優木さんが実生活で体験した内容を読んでさらに内容理解ができた。


ふと、ライトアップとは闇を作り出すことなのか、と思った。ライトアップされた被写体はいくらでも写真におさめることができるが、では闇は?闇を手元に残すのは簡単なことではない。今日この園内に、一体いくつの、どんな色をした闇が生まれているだろう。

「紅葉」より

明るいものだけに注目するのではなく、反対の物事に着目する視点が、読んでいてハッとさせられた。


本当に色んなことを考えて、色々な視点で物事を捉えられているので、読んでいて発見が多かった。


⑨『うどん県の歩き方〜これから香川県を訪れる人に読んでほしい10の物語〜』
 (三木高校十四期生文芸部さん)


せっかくの香川県で、香川についての本を手に取らないわけにはいかない、との思いでブースに訪れると、なんとまだ12時過ぎだったのに「これでラストです…!」と。驚き〜

ちなみに今回私はうどんを食べてないので「第三の歩き方」でしょうか。


香川県といえば、

私にとっては「文学フリマ」と言いたい。

これからも、香川県で、

文学フリマが愛されますように。


こんぴらさんの歴史、とてもボリューミーな内容で凄かった。最後の執筆者の紹介を見たところ、歴史学者さんが書かれたもの…!


私も皆さんの紹介欄のように、好きなうどん屋さんを名乗れるようにしたい。


うどん県にこれからいらっしゃる方には、ぜひスローペースでいろいろなところを歩いてほしい。そしてどんどん寄り道をしてほしいし、ときどき立ち止まってほしい。田舎の町の味わいが、何気ない一瞬に、ささやかな一幕に、忘れられた路地裏に、こっそり隠れているはずだ。それを見つけだしてほしい。

(中略)

目を凝らし、耳をすまして、いろいろな「物語」を。その萌芽や余韻を。ほんのりと漂うその名残を。

おわりに より


たくさんの本の出会いに感謝。

文学フリマ香川、これからも楽しみにしています!

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