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仕事が進まない原因は「心の中」にある

多くの組織では、四半期や通期など事業の区切りで何かしらビジネスの振り返りをします。売上や利益といった代表的な指標から、事業特有のKPI、そして進めている施策の進捗などを資料にして、関係者が集まってレビューを行うのが普通です。

こういったレビューでは、課題が話し合われてそれを解くためのアクションを決めていくのが普通です。例えば「マーケティング組織との連携が悪かったから、来期からは毎週打ち合わせを実施しよう」などです。

ただ、こういう議論の流れを見て私は違和感を感じることがあります。「連携が悪い」が本当の原因だっけ、毎週会議してそれって本当に解決するのかねえ?と。

ここでポイントとなるのが心の問題です。例えば、営業担当のAさんがマーケティング部門とうまく連携できなかったのは、そこのB課長が「すぐ怒る」タイプで相談しにくかったからかもしれません。

仕事が前に進まない原因は、このように恐れや不安だったりすることが実はとても多いです。昔の私もまさにそうで、自分が苦手なタイプの人が仕事の関係者にいると、その人とのコミュニケーションを避けてしまい、結果的に仕事が止まってしまうことがとても多かったです。

一方で、ここで難しいのは、仕事が前に進んでいない時に「B課長が怖いので相談に行けないんです」と正直に話して仕事が進まない原因とするのは、ビジネスの文脈では一般的でないということです。「怖いから話せません」と言われて「おおそうか、それは確かに難問だ」と返してくれる上司は少なくて、「そんな情けないこと言わずにさっさとやってよ」と答える人の方が多いですよね…

ではどうすれば良いか。私としてはTwitterやcakesの連載でよく話しているように、自分が仕事を前に進められない「状況」と、その時に「考えていること」や「感情」をメモしてみることをおすすめします。

心理学で「外在化」というのですが、自分の置かれた状況とその時に思っていることを書き出してみることで、その心の状態を外に出して(外在化)客観的に眺めることが可能になります。

自分の中のぐちゃぐちゃした、形の無い不安や恐怖も文章として外に出してみると、意外に冷静に眺められるものです。そして「自分はBさんが苦手なんだな。なら上司に相談して交渉のところは助けてもらおうかな」と前向きなアクションも浮かんできたりします。この方法は、手軽にできるのでぜひ試してみて欲しいです。

そして、上司の視点からこの問題を眺めてみると、メンバーのどこを支援すればいいかのヒントが浮かんできます。

仕事が進まないのは、スキルが足りないこともあるけど、その人の心の中の不安や恐れが関わってくることも多い。この認識をきちんと持った上で、上記した例のように、メンバーが他部門の責任者を恐れていそうな場合は、その難しい交渉の部分は自分が担って、その上で具体的な業務の部分は任せる、など不安や恐れの原因となっている部分をサポートしてあげることは有効です。心の問題が関係している「ボトルネック」を、管理職の立場を利用しながら解消してあげるイメージです。

こうしたサポートをしてあげることで、メンバーの人は安心して仕事に集中できるようになりますし、その結果として信頼感も醸成されてきます。

心の問題は他人から見えない、もしくは本人すらうまく気づいていないことが多いので難しいのですが、ビジネスにおいてもそこにきちんと着目することが質の高い仕事をする上で大切だと考えています。

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