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自分の「普通」にこそ価値があるのだということ

「ブルーピリオド」は何度も読み返すくらい大好きなのですが、あらためて1巻から読み直していて、5巻にこんな印象的なシーンがありました。

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多くの方の相談を受けていると(累計123名となりました!)、やはりキャリアの悩みが多いのですが、その時に重要となるのが、この大葉先生の言葉だなと思っています。

営業でもマーケティングでも、経理でもカスタマーセンターでも、どんな職種であっても、毎日かなりの時間を投じて仕事しているわけで、そこにはその人特有のスキルや知見、そして、個性が宿ってきます。

自分の価値には気づきにくい

ただ、何年もやっている仕事って自分にとって「当たり前」のものになってしまうし、それが他人から見たらどんな価値を持っているかに気づきにくいんですよね。

なので、「自分は専門性に欠けているんじゃないだろうか」「ネットで脚光を浴びている人に比べて自分の仕事は華やかじゃないなあ」などと迷い、不安になってきてしまいがちです。

私もそうでした。新卒でメーカーに就職して海外営業をやっていたのですが、コンサルや投資銀行など世間で注目を浴び始めていた「プロフェッショナルの仕事」に比べて、自分が毎日やっている貿易実務や生産調整、代理店との折衝といった仕事は地味だなと思っていましたし、それがある種のコンプレックスになっていました。

それもあって30代でコンサルタントに転職したのですが、必要とされるスキルのあまりに大きな違いについていけず、成果を出すことができませんでした。結果として、コンサルタントやエンジニアの稼働率や仕事のアサインを管理する間接部門に異動します。

「地味でつまらない」に潜む価値

現場の人からは地味と思われていた部門ですが、毎日コツコツと仕事をしているうちに、ある時はっと気づきました。コンサルティング&SI事業における稼働率管理は、メーカーでいう「生産管理」と同じ機能を果たしているではないかと!

言うまでなく、メーカーの事業を根幹で支えているのは「工場」です。顧客のニーズに合わせて、最適なタイミングで、最適な量の製品を生産し、それを顧客まで届ける。トヨタが生産管理に革命を起こし世界一の自動車メーカーまで登り詰めたように、事業の本源的な価値は、優れた生産管理の思想や仕組みから生まれています。

そして、よく考えるとこれはコンサルティングの世界でも応用が利きます。顧客の経営課題に対して、最適なタイミングで、優れたコンサルタントをアサインし、彼等が質の高いデリバリーをすることで顧客の満足度が最大化し、それが売上と利益につながっていく。

さらに、コンサルタントにとっても、適切なタイミングでプロジェクトにアサインされることで経験を積みスキルを身につけ、優れたコンサルタントとしての力を高めていくことができます。つまり、コンサルティング&SI事業でも「生産管理」の概念は重要だったのです!

このことに気づいたことが、私のキャリアを大きく変えてくれました。生産管理の視点から稼働率管理を捉え直せたことで、COOやCFOといった経営を担う人たちから「こいつ分かってるな」という形で信頼され、重要な仕事を次から次と任されるようになりました。

そして、この気づきを得られたのは、メーカー時代に「地味でつまらないな」と思っていた海外営業で、工場とのやり取りを通じて生産管理の重要性を理解していたからでした。当時はその仕事が「普通で当たり前」だったから、その本質的な価値を深く理解しきれていなかったのですが…

自分の価値を探し出し、褒めてあげよう!

ということで、キャリアを考える上では、まずはいま自分が「普通」と思っていることを違った視点、特に外部の視点から眺めてみることをおすすめします。自分では平凡でつまらないと思っていた仕事やスキルが、世の中の他の人から見たら貴重なものであることは本当によくあります。

そして、この作業を通じて自分の過去の仕事に自信を持てるようになるのも大きなポイントです。「自分が当たり前にやっていることには、人から見たら価値があるんだ」。この気づきを得られることで、自分がやってきたことを認めて、褒めてあげられるようになりますし、それが自信につながっていきます。私もまさにそうで「自分を褒められるようになった」ことが、キャリアを築いていく上で大きな支えとなりました。

ということで、ぜひ自分の仕事を外部の違った視点から眺め直して、その価値を見つけてみて下さい!

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