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「いい人」なだけでは難しい、リーダーとして本当に必要なもの

ビジネスにおいても、リーダーは誠実で「いい人」であることが求められる時代になってきていて、軍隊型のマネジメントが社会的に許容されなくなってきてるのは良い流れと思っています。私の経験からも、軍隊型は短期で成果を出す上では最適な場合があるけれど、そのやり方を中長期で長続きさせるのは難しく、どこかで破綻しがちなので。

一方で、リーダーには反対を押し切ってでも強引に何かを進める強さも必須となります。なので、両者のバランスをどう取るか、というのが重要な論点になってきているように感じています。単なるいい人ではうまくいかないんですよね。

というのも、マネジメントとしての付加価値は、困難な状況下においても、皆が進むべき方向性を指し示すこと、質の高い意思決定をし続けることにあるからです。いい人であること、メンバーから好かれることを過剰に意識して、意思決定がブレたり遅れたりすると事業にとって致命的となります。この辺のバランスをどうやって取るのが良いかは、知識だけではどうにもならなところがあって、経験からしか学べないところがあるのが難しいところです。

これに関連して、最近、2015年のラグビーW杯において日本が南アフリカに奇跡的な勝利を収めるまでの過程を描いた「ブライトン・ミラクル」を観ていて、印象的なシーンがありました。

それは、当時の日本代表のヘッドコーチであるエディ・ジョーンズが、敗戦したフランス戦後にその時のキャプテンだった廣瀬選手と記者会見に出席しているシーンです。彼は、日本の課題を厳しい口調でまくし立てます。「戦う意志がまるでない」「勝つ気がない」「変わろうという意志がない」「日本代表として到底受け入れがたい」と。

このエディの発言のあと、記者から感想を聞かれて廣瀬選手は苦笑します。すかさずエディは「笑い事じゃない。これが日本の問題だ。勝つ事に真剣になれない」と厳しく返します。

ここはスポーツと同様に「結果」が問われるビジネスにおいて、リーダーとして譲れない非常に重要なポイントです。

この時点でのラグビー日本代表は負けることが当たり前になっていました。ワールドカップではわずか1勝しかしたことがなく、95年の大会ではNZオールブラックスに145対18と屈辱的な敗戦を経験しています。

なので、エディが記者会見での廣瀬選手の苦笑を見逃さず、厳しい口調で「笑い事じゃない」と厳しく指摘した気持ちはよく分かります。廣瀬選手のそうした何気ない反応にこそ、負けることが当たり前になり、勝つことに必死になれないチームの本質的な問題点がよく表れているからです。

これはビジネスでも同じで、長期間にわたって業績不振に陥っている部門ではよく見られる光景です。事業がうまくいかないことが常態化し、商品が悪い、上司が悪い、他部門が悪い、と責任を自分たちでなく外部要因に転嫁し、それを冷笑的にネタにする空気すら生まれてくる。そして、そういう部門には往々にして「いい人」のマネージャーがいます。他責で冷笑的な組織を否定できず、勝つための方向性も示せず、みんなの言うことをなんとなく受け入れてしまうマネージャー。こうなるとその組織を復活させることは本当に難しいです。

なので、リーダーの役割を担うことになった人がまず意識すべきは、「みんなに好かれることはできない」という厳然たる事実だと思います。部下にも、上司にも、他部門にも、そして時には顧客にも、いくら反対されても憎まれても貫き通さなくてはいけないことがビジネスにはあります。この冷徹な事実を心から理解して、具体的な行動として示せるようになってから、ようやくリーダーとしてのキャリアが始まると自分の経験を振り返りながら思います。

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★ボーナス・トラック★
自分が「リーダーはいい人なだけでは務まらない」というのをどうやったら学んでいけるのか、ということについて書いてみました

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経営を考える素材を提供します。娘二人の育児奮闘中の父親です。日系メーカー海外営業→外資コンサル→上海駐在→現在、経営企画本部長@米IT企業。
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