半笑いのポッキーゲーム #毎週ショートショートnote
ポッキーゲーム決勝トーナメント。
優勝の賞品は私とのキス。いや、私とのポッキーゲームだ。
予選を勝ち抜いた8人はいずれも早食いの猛者ばかり。マッチョにオタクにデブにブサイク。
そんな男たちの中でミツルだけは違っていた。端正な顔立ちと涼やかな瞳。沢山の女子からのアプローチを全て断ってきた難攻不落の氷の王子。そんな彼が私とのキスを望んでいるなんて。
「優勝した男が嫌だったらポッキーを折って逃げればいい」
そう友達に言われたけど、ミツルが優勝するなら話は別だ。
彼は準々決勝、準決勝と勝ち上がっていく。
決勝戦は巨体マッチョ。二人の間の長いポッキーが凄まじい速さで短くなった。真剣な二人の顔が近づく。どちらも逃げない。二人の唇が重なったかに見えた瞬間、マッチョが顔を背けた。
やった。ミツルが勝った。
「優勝おめでとう」
私はポッキーを咥えてミツルに顔を寄せた。
ミツルは半笑いを浮かべて踵を返すと、決勝を戦ったマッチョの元へ走り去った。
目的はそっちだったのね。
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