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最好映画。215 「忍者武芸帳」1967年。

「サスケ」「カムイ外伝」で有名な白土三平の初期大長編(全17巻)を、漫画原稿を再撮影して映画に仕立てた作品です。1967年にモンタージュだけで131分の映画として公開していたなんて、驚きしかありません。今でいうビデオコンテがずっと続くわけで、耐えられるのかな〜〜、とか雑な思いで見たんですけど、これがとんでもなく面白い。原作を整理して、1960年代の学生運動の嵐になぞらえて展開。市民の力は誘導してこそ強力な力になる。それを忍者が先導したとかしてないとかというお話し。原作はもっと長大で師弟対決アリ、裏切りアリで陰惨なんですが、人間離れした影一族が一向一揆を指揮して明智光秀を追い詰める、戦国の世に暗躍した忍者が、実在の大名の生き様とすり替わっていたという、ありそうな、、話です。漫画の原稿を活写して効果音と声とナレーションだけで再構成された映画の中に入り込むと、そんなことは全然気にならない。小沢昭一のナレーションに、小松方正、戸浦六宏、佐藤慶、山本圭、渡辺文雄、小山明子という大島渚ギャング総出演。豪華豪華です。聞いただけで顔が想像のつくみなさんの声で、時代劇の匂いがたちます。学生時代に「戦メリの大島渚の漫画映画!」という情報しかないまま観て大正解でした。ひとつ前が「ユンボギの日記」で、写真にナレーションをつけた映画で、これを拡大したのが「忍者武芸帳」と見て間違いないんだと思います。写真だろうが漫画だろうが脚本と編集によって映画は成り立つということを堪能させてもらいました。いきなり観るとアップ目の白土三平さんの絵が続くので、テンポとルールに慣れるまでは少し時間がかかりますが、影一族の外伝あたりからはハマっていくこと間違いなしです。「日本春歌考」「白昼の通り魔」の高田昭カメラマンがスウィッシュまできっちり撮影してます。原稿の再構築と足りない絵を探すのに時間かかっただろうな〜と思います笑 iTunesストアにあるので、一度観てみてください。


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