起業から10年目突入、累積17億円を調達し連続起業してきた訳
起業したのが9年前の2012年11月で、よく考えたら10年目に突入してました。
起業は1年後の生存率が72%、5年後には40%になる中で、ここまで続けてくることが出来ました。
ひとえに応援頂いている皆様からのご指導ご鞭撻があってこそ。引き続き、よろしくお願い申し上げます。
そこで、今日は私のこれまでの連続起業をエクイティファイナンスの面からまとめてみたいと思います。
なんで、こんなに連続起業してきたのか。その訳も最後に書いてみたいと思います。
自分自身にとってのメモ代わりでもあります。
バックグラウンド
そもそも起業する前は何をしていたのか?というと、大学時代は大阪大学でコンピュターを専攻していた。
勢いあまって、博士号(Design and Evaluation of Automatic Test Generation Strategies for Functional Testing of Software)を取得している。ただし、自分は研究は向いていなかった。博士課程の時は、早く働きたくてうずうずしていた。
学生の時から、起業を意識していた。でもなぜしなかったのか。大阪の片田舎の大学で学生しかしてなかったので、ビジネスのビも知らない自分は、起業なんて無理無理と思っていたから。
キャリア
新卒で野村総研の経営コンサルティング部門に入社した。そこから9年ほどコンサルタントを経験、その後グリーに転職。在籍は1年7ヶ月。途中からグリーシンガポールを立ち上げに関わり、事業買収や投資先スタートアップのフィルタリングなどを行っていた。
連続起業
1社目Diixi(2012年11月創業):資金調達額0円
2012年11月に初めて自分の会社を創業した。場所はシンガポール。自分がやれば、なんとかなる、なんとかしてみせる、と思って船出したが、現実はそうは甘くはなかった。
the CHAOS ASIAというイノベーションピッチイベントに始まり、そこから創業キャンプとシード向けファンドを立ち上げるという構想で動いていたが、会社としてのエクイティファイナンスも、ファンドの立ち上げもできずに終わってしまった。
2社目Yourwifi(2013年10月創業):資金調達額0円(USD 4 million未遂)
2013年10月に2社目となるYourwifiをまたもやシンガポールで立ち上げた。こちらはタイムマシンモデル。出張者や旅行者向けのmobile wifiをECでレンタルアウトするモデルだ。地道な積み上げビジネスをしてみたかった興味があったので、挑戦してみた。シンガポールでは誰もまだこのビジネスに手をつけていなかった。
外資系では初となるMVNOライセンスをシンガポールで取得し、シンガポール国内でのサービスも展開できる会社に仕上げた。
この会社は最初の1年は苦戦したが、2年目から成長。創業3年の成長率は、172%に上り、デロイト社が毎年発表する急成長企業ランキングでシンガポールで3位となった(アジア全体で272位)。このニュースは結構嬉しかった。
このスタートアップは、2016年初めに、ヨーロッパの銀行系CVCよりコンバーチブルノートで400万ドルのオファーがあった。諸般の事情でこちらは最終的にお断りをして、日本に帰国する決意をした。
日本帰国後も事業は継続し、2018年9月に香港の会社に売却。
3社目WAVE(2014年2月創業):資金調達額0円
バリ島に住む親友と共に作ったバリにあるコワーキングスペース、WAVE。それを2014年2月に立ち上げた。当初の思惑は、所さんのガレージのように、大人の遊び場を作ろうぜと、ある意味趣味としてやっていたのだが、折下2014年は資金的に苦しかった時期と重なり、思うように動けなかった。また、バリを絡めて何かやりたいなと思っている。
4社目butahage Singapore(2015年1月創業):合弁会社
私はファウンダーではないのだが、シンガポールで飲食店を立ち上げる会社に参画した。butahage Singapore Pte. Ltd.という会社で北海道十勝の郷土料理、豚丼を提供する会社だ。
内装デザインの図面やレジ打ちもしたり、当時日本の豚肉はシンガポールに輸入することが出来なかったので、世界中の豚肉を輸入して、どの豚肉がフィットするか、試食、試作を何度も試した。思い出深い面白いプロジェクトだった。英語力を買われて私は現地の立ち上げCOOの役回り。こちらについては、自身の会社ではないので、自ら資金調達に動くということはなかった。
5社目Propetidata(2015年9月創業):資金調達額0円
2015年は、このほかにもタイやフィリピンなどいくつかの事業に関わっていた。5社目のこちらは、ジャカルタで、不動産系ポータルを立ち上げようかということで参画した。当時、インドのHousing.comが素晴らしいUI・UXで鳴り物入りで出てきて、それのインドネシア版を作りたいというものだった。
不動産会社を持つジャカルタの友人のプロジェクトで私は立ち上げ期の短い間ジョイン。目論見としては、ユニコーンを目指していたが、私はジャカルタには移住できなかったため、創業期のみの支援となった。
6社目LastRoots(2016年6月創業):資金調達額13億円
起業してから3年半が過ぎていたので、そろそろ私もVCなどから資金調達し、スケールアウトする事業に携わりたい欲求に駆られていた。
それまでは、Yourwifiで10名、butahage Singaporeで20名ほどの組織を率いてきた形だったので、100名200名と規模を追うことにも挑戦してみたい、そんな時期だった。
6社目はブロックチェーン、仮想通貨、動画広告、取引所を合わせたモデル。この会社では都合3回の資金調達を実施した。ICOで1回、第3社割り当てで3回。合計13億円。最終的に上場企業の子会社としてイグジット。
最大値65名の体制と創業25ヶ月で大きくなりました。
2018年1月のコインチェックによる仮想通貨流出事件。これですべてが変わった。この事件がなければ、ユニコーンになれただろうなと今でも夢想します。
7社目bajji(2019年4月創業):資金調達額1.7億円
前の会社をイグジットしてすぐbajjiを創業しました。bajjiもなんやかんや、いろいろ紆余曲折がありました。最初にサービスbajjiを開発していたわけですが、公式ローンチしたその日にコロナが始まり、ピボット。そこからの立て直しと、新規サービスのFeelyouリリース。コロナ禍で国が出してくれた対策はすべて利用させて頂きました。Feelyouは今日ver3をリリースしました。
8社目NonEntropy Japan(2020年12月創業):資金調達額1.4億円
ブロックチェーンのFilecoinを展開する事業を推進。こちらは私はファウンダーではありませんが、開発全般に関わっています。まだ始まったばかりの会社であり、今後の展開に期待してください。
連続起業してきた訳
始めから連続起業しようと思ってたわけではないんです。ただ、自分は多動ぐせ、というか、思いついたら動く癖がありまして、事業を進める中で、いろんな人と出会う。そんな出会った人とのインスピレーションで何事も始まっていきました。
失敗も数多く経験してきました。それでも10年やってこれました。無理に連続起業しようとしたわけではなく、自分のインスピレーションに従って生きてきたら、必然的にこうなっていた。その方が正しい気がします。
私は自分自身を新たなサービスを産み出す人間だと定義しています。世界にまだ存在しない、新しいもの、未来に必要とされるもの。それが見えてきます。その最初の先鞭をつけるのが自分の役割。
自分がやってることは、いつも始めるのが3年早いものばかりという評判がありますが、自己認識しています(笑)。ただ、絶妙なタイミングのものは、自分の中ではもうコモディティな気分になり、なかなか力が入りません。
数年後盛り上がるかもしれない、新たなサービスをデザインし、それを世に出す。そうすることで、世界を1mm前に進めることができるんじゃないかと思っています。
何度も資金調達してますが、最近は調達せずともサステナブルにやっていく方策も重要だと思い始めています。もちろん私の会社のPurposeに共感頂き応援いただけるVCがいらっしゃるのであれば、ぜひよろしくお願いします。
次の3年は、サステナビリティをキーワードに、世界にないものをまた考えようとしています。
なぜ連続起業してきたのか。それは、世界にないものを産み出したいという、前のめりの思いが勝手にそうさせただけなのです。
まとめ
創業してからの経過日数:109ヶ月(2021年11月現在)
これまで創業した会社数(ファウンダーとして):5社
平均創業期間:21.8ヶ月に1社創業
これまで創業した国:シンガポール、インドネシア、日本
これまでの累積資金調達額:17億円(2021年11月現在)
1年あたりの平均資金調達額:1.9億円
これまでの資金調達回数:10回
創業から初めての資金調達までの期間:44ヶ月
平均資金調達実施期間:6.5ヶ月に1回
創業企業(ファウンダーのみ)すべての累積実現売上:21.7億円
これまでの最大組織:65名(創業から25ヶ月で達成)
特許取得件数:2件
イグジット回数:2回
上場回数:0回
上場企業への子会社化:1回
外資企業へのイグジット回数:1回
これまでの会社清算数(撤退、倒産):2回
主な実績:
2014年4月 MVNOライセンスをシンガポールにて取得
2015年4月 Asia Entrepreneur選出
2016年9月 IBM Blue Hub賞受賞
2017年12月 Deloitte technology fast 500において、全体で292位にランクイン。シンガポール企業で3位
2019年11月 仮想通貨交換業者 関東財務局長の認可取得
2019年11月 Microsoft for Startup 採択
2020年9月 TechCrunch Disrupt 2020 Japan Pavilion採択
2020年12月 Google play ベストオブ2020、隠れた名作部門にて大賞を受賞
最後までお読み頂きありがとうございました! シェア頂けたら嬉しいです。 もし宜しければ、今後の記事執筆のためのサポートをお願いいたします。