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教師が”さすまた”を持って訓練をする理由

(注)ブログ(ceis-kyouiku.com)からの移行記事。今後はブログの「学校・子どもの安全」ジャンルの記事に加筆修正しながら、noteに移行していきます。

ぼくはこれまで、小学校の教員研修での不審者対応訓練の研修講師や各自治体の講演など、多く手がけてきた。それは、ぼくの以前の職業によるところが大きい。

プロフィールでも紹介したように、ぼくは大学の教員になる前、大阪教育大学附属池田小学校で教諭をしていた。
ここは、2001年6月8日に学校に暴漢が侵入し、児童殺傷事件が発生した学校だ。
この学校でぼくは、事件後の2005年から2014年まで勤め、そこで学校安全主任などを担当し、不審者対応訓練や安全教育を担当してきた。

この事件とぼくの関わり、そこから得られた教訓、伝えて行きたいことは改めて述べていこうと思うが、このシリーズでは、ぼくの持っている不審者対応訓練の知見について紹介していきたいと思う。

まず、この画像を見てほしい。

訓練(松井)


これは小学校での訓練の様子で、4人の教員にさすまたで取り押さえられているのは犯人役のぼくだ。
本物の不審者みたいで笑ってしまう。

余談だが、不審者役をする日は朝から「悪い人」になっている。
そして変なアドレナリンが出ていて、さすまたで画像のように押さえ込まれても、痛くもなんともない。
いろんな学校の訓練に関わってきたが、先生たちは怪我をするくらい本気でやり、危ないから何度も止めたことがある。

学校安全主任になり、訓練の計画やコーディネートをする上で、「不審者役」を毎回決めてお願いしなければならない。
それが嫌になり、いつしか自分が不審者役になっていた。
そして、いつも怪我をする。
それほどみんな、本気で訓練に取り組んだ。
その理由は、事件を起こした学校だからだ。
だから、年間5回の訓練をする。

その結果、ぼくは学校安全主任として、9年間で45回の訓練を経験したことになる。
一般の公立学校では、よくやって1年間に1回の訓練だろう。
ぼくと同じ回数の訓練を経験するには45年かかる。
それは物理的に不可能だ。
経験上、ぼくが訓練について多くの知見を持っていることは当たり前のことだ。
偉くもなんともない。

そんなぼくは、初めての訓練で、とんでもないミスを犯した。
訓練でのミスは、子供の命を失うことにつながるミスだ。
だから辛くなるし、訓練はみんなにとって気が重いのだ。

ぼくがどんなミスを犯したのか、次回話そう。

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