美しい写真にのせてお届けする心の詩 №019
№019 ダイス
失敗はする
勝ちもすれば負けもする
AIが示す確率に
沿って生きるか
それとも自分のダイスを
自分で振るか
私は自分で振っただけよ
(ルーシーの台詞)小説『アプサラムーン』より
解説
14歳にしてスタンフォード大学で物理学を学ぶ天才少ルーシーが曾祖母テルザの幻影に苦しみ続ける祖母マリーと共に過ごした長い苦悩と不安の日々から脱したきっかけは、人工知能研究者の中萩律(なかはぎただし)との出会いだった。
それまで物理学者を目指していたルーシーはそこで彼女の人生の大きな舵を切る。その僅か1年後に訪れた更に大きな転機は、自身の脳にニューロチップを装着するという大きなリスクを伴うものだった。
ルーシーを何とか思い止まらせようと反対し続ける律に対して彼女が放ったのがこの言葉。
「犬はね、逃げると追いかけて来るんだよ」
幼少期から困難に遭遇する度にこの言葉を口癖のように発しながら周囲の大人たちを驚かせ励まして来たルーシーの人生観は、ここでもまたリスクテイクに悩む我々に何かを示唆してくれる。
人生の選択は、”成功する確率”あるいは”齎される期待値”に沿ってのみその価値を計れるものでは無いんだ――そんなルーシーの囁きが聞こえて来る様だ。
カンボジアの中でも僻地に暮らしながらも、ほぼ無収入で小説を中心に、主に料理をテーマとした詩やエッセイなどの創作に没頭しております。 皆様からのサポートは主に端末機器や通信に当てさせて頂きますので、ご支援の程よろしくお願いいたします。