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面白い商品

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
 
 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、街で見かけた「面白い商品」について説明します。
 
 先日、近所のホームセンター内を歩いていたとき、面白い商品を発見しました。
 ふるだけで水筒の茶渋もきれいになるボトルクリーナーというものです。
 これ、税込み約500円で売っています。
https://onl.bz/pnueQRq
 
 水筒の中って、けっこう洗いにくくて皆さまも苦労された経験があるかと思います。
 コーヒーなんて入れておくと、中が黒くなります。
 私は平気なのですが、気になる人は何とかしたいと思われるでしょう。
 それが振るだけで中が綺麗になるといわれると、買いたくなってしまいますね。
 
 これだけでも十分興味をそそられて面白い商品なのですが、商品の裏面でその品名と成分表示を見たとき、これは凄いと心の中で思ってしまいました。
 品名は「クレンザー」となっています。
 そして、成分は「研磨剤」と「重炭酸ソーダ」となっています。
 これを見た瞬間、私は心の中で「原価安っ!」って思ったのです。
 
 何故なら、クレンザーは業者同士で大量に買えばかなり安くなります。
 重炭酸ソーダも重曹と呼ばれて一般に流通しているものなので、こちらも業者同士で大量に買えば相当安くなります。
 
 もちろん、最良の配合割合や最良のクレンザーの粒度を導き出すためには、それなりの実験や開発が必要です。
 ボトルを作る金型も必要でしょう。
 
 しかし、ある程度以上の数量が売れてしまえば、原価が安いだけにかなり利益が出る商品だろうと予想できます。
 
 一方、私みたいなケチな人が、成分表示を見て自分でクレンザーと重曹を買って配合してと思うと、それだけで500円くらいかかりそうですね。
 しかも、最適な配合比やクレンザーの粒度なんて分かりませんから、1本2本程度の水筒を洗うくらいだったら500円出してこの製品を買っちゃいますね。
 値付けも絶妙です。
 商売が上手ですね、見習いたいです 笑
 
 心配なのは後発品が安売りを仕掛けてくることです。
 原価が安いだけに、200~300円くらいで売られてしまうおそれがあります。
 そうなると、太刀打ちできなくなります。
 そこで、特許などの知的財産権の出番です。
 
 注意点として、クレンザーと重曹を混ぜただけの洗剤では新規性進歩性に乏しいかも知れません。
 しかし、それでも特許出願をするのです。
 この場合、最適な配合比や最適なクレンザーの粒度を下位の請求項に入れて、少なくとも新規性があるように工夫します。
 方法の発明を請求項に入れるのもありかと思います。
 
 基本的に、新規性さえあればその出願が特許になる可能性は捨てきれません。
 このため、この出願は特許にならないだろうと予想されても、まともな会社はその出願の取下又は拒絶が確定するまで同じ品に手を出してきません。
 
 そして、一旦、特許出願をしてしまえば、その出願は審査請求をしない場合でも3年間、審査請求をすると4~5年間は特許出願中となります。
 
 そうすることで、仮に拒絶査定となっても、出願中から4~5年間は他人をけん制して先行者利益を得ることが可能となります。
 また、その間にボトルクリーナーなら○○社といった、ブランドを構築することもできるでしょう。
 
 こういった作戦で参入障壁を作り、自社の製品を守っていくことが可能となります。
 高い利益率も維持できることでしょう。
 もちろん、特許となれば最長で出願から20年間、権利を維持することができます。
 
 こうやって、知的財産権を上手く使って、会社の利益を向上させていくのです。
 この記事が御社のご発展に役立つことを願っています。
 
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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