特許は最後までいくと高いけど、とっかかりはそうでもない
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弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、「特許は最後まで行くと高いけど、とっかかりはそうでもない」について書きます。
特許出願をして、特許査定までいくとけっこうな金額が必要になってきます。
記載量が多くない一般的な案件でも、消費税を抜きにして1件あたり安くて60万円くらい、高いと100万円くらいでしょうか。
ちなみに、拒絶査定不服審判を請求すればもっとかかります・・・。
これだけを聞くと、高い~!、特許なんて無理と思われるかも知れません。
ご安心ください。
この金額、一度に払うものではありません。
普通にすれば4年くらいに分散して請求書が来ます。
また、払うのを途中でやめることもできます。
(請求を踏み倒すという意味ではありません、念のため。)
どういうことかと申しますと、特許というのは時系列的にいくつものイベントがあって、その都度費用が発生します。
そして、そのときに発生するイベントをしなければ、それ以上の費用はかかってこないのです。
詳しく説明しますね。
先ずは先行技術調査をします。
これは、出願を考えている発明と似たようなものが、過去にあるかどうかを調査するものです。
大抵、過去に似た技術があるのですが、その発見された技術と今回の発明とを対比させて、出願に値するものか否かを検討します。
この費用はその技術の分野にもよりますが、5万円前後くらいで収まることが多いです。
ここで、出願する又は出願しないという判断をしてください。
この時点でやめれば上記の費用だけですみます。
なお、この先行技術調査は必ずした方が良いですね。
なぜなら、自分の技術が他人の権利を侵害しているかも知れないからです。
次が出願です。
ここでは一般的に30万円台の費用が発生します。
ちなみに、プログラム系だと記載量が多くなりがちで40万円台以上になることが多いです。
とりあえずは、出願まではしておくことをお勧めしています。
出願までする理由は色々ありすぎて全部書くことはできませんが、1つだけあげるとすると、その商品などがヒットしたときに後から出願することができず、他社が真似し放題になるからです。
(厳密には出願自体はできますが、出願しても拒絶査定になります。)
次は、約3年間放置します。
この3年間で、特許出願した商品等が事業として上手く行っているかどうかの判断をしましょう。
残念ながら上手く行かなかったときは、そのまま放置しますと出願は自動的に取下となります。
つまり、その後の費用はかかりません。
逆に、上手く行っている場合、次の投資として出願審査請求をしましょう。
この審査請求、普通にすると約20万円かかりますが、中小企業ですと減免があって10万円以下に収まることが多いです。
次は、中間対応です。
出願審査請求から約1年後に審査結果が通知されます。
この審査結果ですが、高い確率で拒絶理由通知がきます。
この拒絶理由通知に対して意見書や補正書を特許庁に提出するのが中間対応です。
中間対応の費用は、1回あたり10万円台前半の場合が多いです。
このときも中間対応をする又はしないの判断をすることができます。
中間対応の結果、一般的に約1/3が拒絶査定、約2/3が特許査定になります。
中間対応の結果、拒絶査定となればその後の費用は発生しません。
特許査定となったとき、成功報酬や登録料として10万円~20万円の費用が発生することが多いです。
といった感じで、特許はその費用を4年以上の期間に分散させることが可能です。
もちろん、早期審査等を利用して出願から半年以内に決着を付けることもできますが、何らかの事情があるとき以外は期間を引っ張ることをお勧めします。
その方が出願人にとってメリットが多いからです。
ちなみに、早期審査等で早くする方が、たくさんのお金がすぐに入って弁理士としては嬉しいですが・・・。
ということで、先ずは先行技術調査、その結果よければ特許出願までしておくことで、その後は事業の成否によってかける費用を決めるといったことが可能になります。
このように、特許が高いと言っても分散可能ですので、お気軽に弁理士にお尋ねになることをお勧めします。
これでも高いと言われると、それはもう仕方ないですね。
何故なら、事業として新たな商品やサービスをリリースするとき、開発費、人件費、広告費などで特許出願の何倍もの費用が必要になることが殆どです。
それなのに特許は出せないといわれると、ご勝手にどうぞという感じです。
ということで、私が思ったことを勝手に書いてみました。
この記事が御社のご発展に役立つことを願っています。
※「起業家応援プラン」として、例えば1年以内に起業された人を対象に、初回限り特許出願の費用を半額にして、残りの金額を成功報酬に振り替えるという案を検討中です。
但し、こればかりやっても私が儲からないため、年間6件くらいに限定する予定です。
ご興味のある人は下記リンクからお問い合わせください。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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