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ガイアの夜明け 不屈の100人 (日経スペシャル) (テレビ東京報道局)

(注:本稿は、2012年に初投稿したものの再録です)

 ちょっと前に、東日本大震災を舞台にした「ガイアの夜明け 復興への道 」を読んでみましたが、今回の本は、ドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」の5周年記念版です

 構成は、「視点」「挑戦」「極意」「苦闘」「誇り」の5章からなり、それぞれのテーマごとに、まさに不屈の精神をもって現実に立ち向かい理想にチャレンジした計100人の言葉を紹介しています。

 登場する人物は、キヤノン社長(当時)御手洗冨士夫氏・スズキ会長鈴木修氏・日本電産社長永守重信氏といった大物経営者の方々もいらっしゃれば、大企業の中堅管理者や社員、中小企業の経営者、地方自治体の公務員、医師、起業を目指す学生等、様々なジャンルの人々でバラエティに富んでいます。

 それぞれの人々の言葉は、すべて実経験の中から発せられたものなので、それらからは、いくつもの興味深い気づきを得ることができました。

 その中から一つ、トヨタ自動車のエンジニアで「レクサス」開発責任者の福里健さんのことば。

(p35より引用) 「自分たちの目指すものを、まずとことんつくる。ベンチマーク(比較の対象)を置いてそこを目指してやっていては、同じところまでしかたどり着けない」と福里さん。「理想の世界を目指してやっていけば、誰もついてこられないところまで到達できる」。最高の車をつくるためには妥協はしない。エンジニアとしてのプライドが、そこにあった。

 競争に勝つということは「比較優位」だという考えがあります。それはそれで正しいのですが、最初から競合との比較優位を狙うのと、絶対優位を目指すのとでは、ゴールの本質が全く異なります。

 さて、本書ですが、タイトルにあるようにそれぞれの人々のエピソードのエッセンスを「100の言葉」に凝縮しようと試みたものなので、1つのテーマの紹介は2ページ程度の限られたスペースに押し込まれています。そのため、「言葉」の背景となるストーリー部分の書き込みが、やはり圧倒的にプアです。

 もちろん、それを覚悟の企画なのでしょうからやむを得ないのですが、軽めのノンフィクションだとしてもかなり物足りない内容でした。残念です。



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