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アメリカの高校生が読んでいる世界経済の教科書 (山岡 道男・浅野 忠克)

 タイトルに惹かれて手に取った本です。アメリカの高校の教科書の翻訳物かと思っていたのですが違っていました。

 アメリカの経済教育を担う非営利団体「ジャンプスタート連合」が高校生向けに作成した経済教育の指導要領「National Standards in Personal Finance」を日本人向けにわかりやすくアレンジした入門書とのこと。早とちりをしてしまい少々ガッカリです。

 ただ、為替をはじめとした国際経済の初歩の初歩を確認するという点では、全く役に立たないというものではありませんでした。

 たとえば、第2章「石油から考える世界経済」では、オイルショックの復習ができました。
 1979年第二次オイルショックに対応してアメリカは高金利誘導による金融引き締め策を打ち出しました。いわゆる「ボルカー(FRB議長)ショック」です。この政策はアメリカ国内でも住宅業界をはじめ大きな打撃を受けましたが、それ以上に発展途上国にも深刻な影響を与えたのです。

(p108より引用) それにしても、お金に困っている発展途上国にお金を貸し付けて、そのあげく資金を引き上げようとするなんて、銀行はサブプライムローンショックのときと同じことをしていたんですね。

というコメントは、印象的ですね。

 さて、全体を通しての感想ですが、いかに「入門書」だとしても、あまりにも内容は貧弱だと思います。
 どういう読者に適しているか・・・、「世界経済」を学びたいという気持ちをもった高校生に対してなら、本書は薦めないですね。「新書」レベルでも十分理解できるでしょう。強いて言えば、中学生が夏休みあたりにザッと読んでみるといった感じでしょうか。



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