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抱影 (北方 謙三)

(注:本記事は、2011年に投稿したものの再録です)

 そもそも小説はほとんど読みません、さらにハードボイルド系は本当に久しぶりです。
 とは言うものの、私もだいぶ以前の大藪春彦に始まり数年前の大沢在昌まで、時折り手に取っていたころもありました。もちろんその過程では、北方謙三氏の作品も何冊か読んではいます。

 さて、本書ですが、昨年(2010年)末の読売新聞の書評欄で「今年の3冊」という特集があり、その中で文芸評論家の北上次郎氏が紹介していたので興味を抱いたものです。

 主人公の抽象画家硲冬樹は52歳、ほぼ私と同年齢(初投稿当時)。舞台となっている横浜曙町界隈は、私が結婚して最初に入った社宅のそば。ということで、ちょっとプロットには親近感があります。

 小説ですからここで内容の紹介は控えましょう。ちょっと気になったフレーズをひとつ書き留めておく程度にしておきます。

(p251より引用) 必然が生む、抽象。・・・必然は、私の気持そのものだった。自分が、失わずに持ち続けている、ただひとつのきれいなもの。それは気持であり、かたちを持ってはいないのだ。

 主人公は、精密な写実のデッサンからデフォルメを進め、そして形のないところへ飛ぶことによって抽象画を描いていました。

 作品の印象ですが、読む前の書評のインパクトが強すぎたせいか、ちょっと期待が大きかったかなというところですね。



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