見出し画像

ジョブ型雇用、「いつか来た道」にならないように 〔気になる記事(日本経済新聞)〕

 在宅勤務導入の条件として「ジョブ型雇用」が脚光を浴びていますね。

 ・ジョブ型雇用、職務明確に 成果で評価しやすく
  → https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61259080X00C20A7EA2000/

 ・「コロナ後は」に落とし穴 日本企業は自営型で
  → https://bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO6001360005062020000000

 いろいろな意見が出ていますが、みなさんはどう思いますか?
 「ジョブ型雇用」 導入のポイントは、「職務記述書(ジョブディスクリプション)」の設計にありますが、それと同じく「運用面での納得性」が重要です。
 社員が実施すべき業務のすべて(内容・程度)を職務記述書に書き出すことは現実的には極めて困難で、個々の具体的なアクションが職務記述書に記載している項目に該当するのかしないのかという境界事例は山ほど出てくるでしょう。そうなると、必ず「運用面での整理」が不可欠になりますし、何がしかの整理がされたとしてもそこに「人」が介在する以上、また “不満のタネ” が生まれてしまうのです。

 そうした場合の結論に「どう折り合いをつけて納得する(腹に落とす)のか」、これは制度設計の問題でもありますが、「国民性」「日本人論」といった議論にもつながります。

 「だから ジョブ型雇用の導入はできない」と言っているわけではありません。
 「ジョブ型雇用のエッセンス」を取り入れるべき業務/組織があることは否定しませんが、一律導入はあまりにも安直ですね。
 個々の企業/組織/業務ごとに、「具体的な実態を踏まえ、どういう課題をどういう方向で改善していくのか」について、導入前に (特に適用業務/職種について)もう少ししっかり議論するべきですし、“導入後の柔軟できめ細かな運用面での配慮がとりわけ重要だ”との認識を強く持つべきだと思うのです。

 「在宅勤務では、日常の勤務状況の把握が困難で生産性も低下しがち。したがって、ジョブ型を導入して“成果の把握”を明確化しよう」といったストーリーで語られることが多いのですが、「したがって」以降の結論は論理必然ではありません。「ジョブ型」も “手段のひとつ” に過ぎません。
 何度も繰り返しますが、しっかりと「目的」を意識して「手段」を選択することです。
 同じ「目的」を目指したとしても、環境が異なると「手段」も異なるのは当然です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?