ロマチェンコ(2008)

2008年のロマチェンコ

https://www.youtube.com/watch?v=nKvGLOWZVgI

北京オリンピックの時ですねー。
この辺りから語りたいことが多くなってきます。
この時のロマチェンコは正に私のイメージする「ロマチェンコ」て感じの動きになってきます。

背骨前に一本綺麗な軸がスッと通っていて、重力を一切感じさせません。
これはインナーマッスルを上手く使うことで、重力に対して無理に逆らっていないからできることです。

例えば、普通に直立してみてほしいのですが、ほとんどの方は無意識に前もも(大腿四頭筋)や背筋のアウターマッスルに余計な力が入っており、地面(地芯)に対して真っ直ぐ立てていません。地面に対しての軸がぼんやりブレてしまっているはずです。少しつま先寄りの重心となっていて、前ももの緊張により腰が少し浮いてしまっています。

これに対してロマチェンコの立ち方はというと、裏もも(ハムストリングス)、うちもも(内転筋)、大腰筋にスイッチが入ることで「骨で立つ」という感覚で、地面(地芯)に対して真っ直ぐ立てています。背骨前の軸が地球の奥の地芯に対してまでぶっ刺さっているようなイメージです。
これ、多くの方は軸のイメージまでは何となくできるかと思うのですが、地面の奥底にまでぶっ刺さっている感覚を持てる人は少数派だと思います。私もまだできません笑
この感覚は強くなればなるほどにアウターマッスルの無駄な力みというものは無くなっていきます。

この軸の感覚を100点満点評価で考えた場合、
・スポーツをしていない人   = 1
・趣味でスポーツをしている人 = 5
・一般的なプロスポーツ選手  =10
・世界トップレベルスポーツ選手=50〜70
・ロマチェンコ        =80
くらいレベルの差があると私は勝手に思っています。
定義も適当だし、わかりやすくするために割と差をつけて書きましたが、感覚的にはそれほどの深み・高みがあると思っています。特に「一般的なプロスポーツ選手」から「世界トップレベルスポーツ選手」の差は大きく、反対に言えば、レベルの高い軸を作ることができれば、世界レベルになれる可能性が高くなるとも言えるのではないかと思ってます。

何にしてもこの年のロマチェンコのポイントは、「軸」ですね。体の軸は色々表現されますが、その中でも高岡英夫氏が命名した「センター軸」が一番合っているかと思います。時間があったら調べてみてください。

普通インナーマッスルを使うことに慣れていない時にインナーマッスルを意識すると、「大腰筋使えてるかな?」、「前鋸筋効いているかな?」とか頭の中で考えてしまいますよね。すると途端に体は固まってしまって、逆にいつもよりも動きが悪くなってしまいます。
それに対して「センター軸」はインナーマッスルを使うためのガイドラインのようなもので、線を体に通すイメージをするだけで自然にインナーマッスルにスイッチが入ります。頭が考えるタスクが減って無意識下でインナーマッスルを使いやすくしてくれます。

またこのセンターという身体意識ですが、他の選手を見る時にもめちゃくちゃ使えます。超一流選手の動きを動画で研究する時などにも使えてしまいます。例えば、ロマチェンコの動画を見ながら、ロマチェンコの背中の真ん中に細い一本の軸をイメージしてみてください。あるいは近くにある細い棒状のものを選手にまっすぐかざしてみてください。何となくでも軸をイメージができたらOKです。それがセンターです。センターが通っていない選手に同じことをしても軸をイメージできません、ないんですから。
これはやればやるほど、見れば見るほど精度が上がっていくので、ぜひ試してみて欲しいです。
この軸が明確にイメージできればできるほどに身体のインナーマッスルは自然に繋がってきます。

またセンターには「細い・太い」、「硬い・柔らかい」、など様々なイメージがあります。
細ければ細いほどインナーマッスルの精度が上がり、太ければ太いほどアウターマッスルが優位になってきます。
硬ければ硬いほど体幹を固めることができ、柔らかければ柔らかいほどしなりが生まれます。
ロマチェンコの軸は「柔らかくしなりのある細い軸」というのが私の個人的なイメージです。

ロマチェンコがこんなことを考えながらボクシングをしているわけではないと思いますが、近いイメージは持っているのではないかと思います。

さすがオリンピック金メダリストの身体の使い方だなーと惚れ惚れしてしまう動きですね。

今回はこれくらいで終わります!
割と書きたいことが書けたので満足してます笑

次は2009年以降のロマチェンコを書いていきます。
2009年のロマチェンコのほうがすごいです。

総括(5段階評価)
身体操作:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
スピード:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
パワー :⭐︎⭐︎
技術  :⭐︎⭐︎⭐︎

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