ロマチェンコVSロペス戦

2020年10月18日(日本時間)に行われたワシル・ロマチェンコVSテオフィモ・ロペス戦(ライト級4団体統一戦)について自分なりの考えをまとめてみたいと思います。

まず結果については、テオフィモ・ロペスの判定勝利でした。これについては様々な意見がありますが、本記事では触れないことにします。その辺の勝敗を見る目はないので笑

本記事で触れるのは、「ロマチェンコの身体の使い方」についてです。私の独断と偏見に満ちてますがそれでも良ければ。。。

今回のロマチェンコを語る上で重要なキーワードは「股関節」です。

股関節を使えているということは、
 ①お腹にある大腰筋
 ②内ももにある内転筋
 ③内もも・裏ももにある内転筋・ハムストリングス
の3つがうまく機能しているということで、この3つが機能すると
 ①上肢と下肢の連動性
 ②上肢(背骨)の柔軟性
 ③下肢の安定と瞬発力
の向上が期待できると私は考えています。

本試合の中のロマチェンコの動きについて見てみましょう。

○ダッキング
 まず気になったのはロマが得意とする右へのダッキングです。本来のロマは股関節(身体の内側)からしっかりダッキングをします。
 しかし本試合では腰の外側のライン、また背中から動いており、背骨から動く感覚が弱く、ダッキングが“もっさり”しています。

○フットワーク
 ロマはフットワークを得意としています。太ももの内転筋とハムストリングス、そしてお腹の大腰筋で上肢との連動性を上げることで滑らかなフットワークを実現しています。
 本試合ではこの本来の滑らかなフットワークは見られませんでした。特に左サイドへのサークリングの際のロマの足は“ボテボテ”とした印象であり、骨盤が上下に揺れて安定せず、それに併せて膝もガクガクしていました。
 一言で言えば、「膝が目立つ」んですよね。いつものロマは膝の存在を感じさせないほど滑らかな足の動きをしています。

○パンチ
 ロマのパンチと言えば、「細かく速く」のパンチで、お腹の大腰筋と脇の前鋸筋を上手く使い、腕を脱力させたパンチを打ちます。
 本試合のロマは脇の前鋸筋以上に背中の広背筋をメインに使ったパンチの打ち方をしていました。これも一言で言えば「肩が目立つ」んです。パワーを上げるために広背筋を鍛えたのだと思うんですが、これが逆に下肢(股関節)との連動性、体幹の連動性を損ねた「手打ち」に近いパンチにさせてしまっています。これはロマの練習動画を見ていた時にも感じました。メディシンボール投げやサンドバッグ打ちの際に体幹と下半身が抜けている感じがします。

【練習動画】17:30~[メディシンボール投げ]、19:30~[サンドバッグ打ち]

https://www.youtube.com/watch?v=iSYAoZAyvB4

大きく気づいたのはこの3つです。

全ての動きにおいて重要なのは「股関節」が上手く機能していることです。これこそが「ロマチェンコ」です。
股関節が機能しているロマチェンコは、
①脇(前鋸筋)
②お腹(大腰筋)
③内もも・裏もも(内転筋・ハムストリングス)
これらのインナーマッスルがカッチリ連動させて使えているため、あの美しい滑らかな動きが実現できています。

ではなぜ今回のロマは股間節が機能していなかったのか?


その一番の要因は、上に書いてある「広背筋」にあると考えます。
パワーをあげるために上半身のアウターマッスルを鍛えた結果、インナーマッスルの感覚が弱まってしまい、身体操作の精度が落ちてしまったのだと思います。

背筋に力みが入れば入れるほど背骨の感覚が弱まる。
→背骨の感覚が弱まれば大腰筋の感覚も弱まる。
→大腰筋の感覚が弱まれば股関節の感覚も弱まる。
と言った負の連鎖が起きてしまいます。

今回のロマは背中から動いている印象が強く、下半身が後から遅れてついてきています。そのため、ダッキング、フットワーク、パンチの精度がいつもよりも落ちてしまっているのです。

もちろん単なるパワーをあげた結果だけではなく、むしろロペスのプレッシャーが強かったことが要因としては大きいかも知れませんね。
強い選手と対峙をすると必要以上に力んでしまうというのは、スポーツをされている方なら誰もが経験をしたことがあると思います。
インナーマッスルを実戦の中で使用するというのはそれほどに繊細で難しいのです。

以上が今回の試合で私がロマチェンコに対して感じた内容です。


体格差を克服するのは大変ですね。


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