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『地獄おっさん』⑧

コウジ「お! おい! マサ!」

コウジ、目の前の光景にとっさに反応出来ない。コウジの横には店長が立つ。

店長「(小馬鹿にしたように)はい、あんたここでしぬー」

店長もメニュー表でかくしていた包丁を、コウジの目の前に出す。

コウジ「な、なんなの? これは何なんだ?」

店長、包丁をコウジに向けて、ヘラヘラしながら話す。

店長「片岡さんの趣味の時間を見ちゃったんでしょ? だからコロスの」
おっさん「おい!」

おっさん、急に先程の無表情から、眉を寄せて煙たそうに言う。
コウジの左横には店長。前にはテーブルを挟んで絶命したマサキとその後ろの男性店員。右にはテーブルを一つ挟んでおっさん。

店長「えー。もうホント慎重派だなー。殺すんだから別にいいじゃないっすかー」
おっさん「フン」
店長「それにしても、片岡さん。この二人が片岡さんを怪しんでいるって、よく分かったっすね?」
おっさん「だから名前をだすな。…オレはカンを頼りに仕事している様なもんだからな」

コウジ、二人の会話の一瞬をついて、その場から右側の誰もいないテーブルとテーブルの間から走り出す。

店長「あ、このやろう!」

店長の包丁が、コウジの体をギリギリかすめる。
コウジ、目の前に出てきた男性店員も突き飛ばし、レジカウンターの方に走っていく。

おっさん「おい、大丈夫なのか?」

おっさん、また眉をしかめて言う。しかし、その場で落ち着いて座っている。

店長「大丈夫っすよ。タクヤ、鍵は閉めてんだろ?」
店員・男「はい、大丈夫っす」

コウジ、店の入り口に向かうが、扉は鍵が掛かっている。
混雑時に客を座らせておく小さな丸イスを使って、扉をガンガン叩く、
4回目の叩きで、扉は大きな音を立てて割れる。

音「ガシャーン!」

店長達と男性店員は、マサキの死体を持ち上げているところだった。

店員・男「あ、あのヤロー!ガラス割りましたよ!」
店長「やっぱ先に、ヤッちゃわねーとダメだな。行って行って」

男性店員、入り口の方に走る。
コウジ、扉を割って外に出ようとするが、
外に出るには、もう一つ入り口のドアがある。

店員・男「何やってんだ! テメー!」

コウジ、スグに来た男性店員から逃げる様に、その場を離れ、店の裏手に回る。裏手には、音楽室のドアノブの様なモノがついた大きな扉があり。
その扉は開いている。また扉には鍵が差してある。
コウジ、その鍵を取り、部屋の中に入る。

男性店員が追いかけてきたが、間一髪で扉を閉め、内側から鍵を閉める。
店員・男「あ!」

店長、その扉の前に来る。

店長「どうした? 何? アイツこん中入ったの?」
店員・男「はい…」
店長「丁度いいじゃん。じゃーヤッちゃおうよ」
店員・男「すいません…オレ、カギ差したままにしておいちゃって…アイツ、そのカギも持って、この中に入っちゃいました…」
店長「は? お前何やってんの?」

店長は男性店員の頭を叩く。

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