春が淋しい
Ⅰ
風は見つめていた
少しずつ大人になる僕たちを
日は見つめていた
少しずつ眩しくなる僕たちを
静かに時は過ぎていく
僕は砂時計を放り投げた
Ⅱ
伝えたい
伝わらない
伝えたくない
わかりたい
わからない
わかりたくない
伝わったら
わかったら
終わってしまう
Ⅲ
下を向いて歩いたよ
みんな口を開かない
思わず石を蹴っていく
僕たちはみんな知っていた
明日で終わり
最後の帰り道
見える景色は同じ
何で明日が最後なの
ずっと一緒にいたいんだ
走り回った校庭
みんなで歌った教室
僕たちは決して忘れない
Ⅳ
さようなら
誰もが言葉を呑み込んで
視線を下げて去っていく
沈黙の中にひとり
思い出をつめた鞄を手に
またひとり
去っていった帰り道
残された影が泣いている
さようなら
君の姿がにじんでいく
遠い空の白い雲
ずっと僕たちを見つめてた
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