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マリアさま

ほこらの中のマリアさま

母はいつもマリアさまの前まで来て

ベンチに座り

その上の御堂にゆく私たちを待っていた

ここは何でもあり

元の神、実の神のおさまる地

神も仏もいらっしゃる

あの世に旅立つ少し前まで

ここに来て座っていた母

なにを思い
なにを感じ
なにを考えて

そこにたたずんでいたのか

もっともっといろんな話しを聞いておけば良かった

おかあさん、迎えに来て…

ふとそんな言葉が湧いて来る

母もずっとそんな気持ちだったのか

父に対していつもいつも
「お父さん、迎えに来て」と

母がいなくなって初めて分かる胸の内

空は青空、いい天気
昨夜の嵐が嘘みたい

今日はマリアさまの誕生日
お釈迦様と同じ日だ

こころ勇んで向かわねば
向かわねば

母と同じようにマリアさまの前のベンチに座ってみる

母と同じ目線
「ここ座っていい」と友がきて
話しをする

ひとりになりたいのに

そう言えば母もいつもここに座ると誰かに話しかけられていた

マリアさまの前はそう言う場所だったのか



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