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篠笛


厳しい暑さの中

すずさんに誘われて
「篠笛と一中節 夏の会」に行ってきました

すずさんは篠笛のお名取さん

すずさんたちお名取さんの出番は午後

わたしは午後の部の始まりを目指して
会場へ向かいます

名前を書いて
会費を払い
会場に入りました

舞台には金屏風
一番後ろの席に座ると
すずさんが寄って来て
「はい、これあげる」
なんだろう?
(すずめのなみだ)と書いてあります
手拭いかな?

まもなく午後の部が始まります

サプライズで声楽家の歌姫さんとお社さんが篠笛を吹かれました

篠笛のお弟子さんたちの演奏は
どの人も一所懸命
その中で「野菊」と「浜辺の歌」を吹かれた方
なぜだかちょっとかなしげな感じ
なみだが出そう

どうしてだろう
母への思いが募ります

演奏が終わると篠笛のお師匠さんの解説で
「最近、お母様を亡くされたばかりで、この発表会も出られないと思っていましたが、お母様は篠笛を聞くのが好きだったということで、出演されました」と

あぁ、やはり
その人の母への想いが重なりて
わたしも母のことで胸がいっぱいになったのでした

篠笛はこころのうちをあらわすもの
吹いてる人の気持ちが伝わってきます

楽しげに吹いてる人の多い中
泣きそうになりながら
お母さんに捧げる笛の音

もらい泣き

演奏が終わり
本人も泣いていました

「よく吹きましたね。お母様はよろこんでいますよ」とこころの中で声をかける

ご主人を三年前に亡くされて、篠笛があったから生きてこられました
と言われている知人もいました

なにかこころに支えがある
生きることには必要です

最後には篠笛と一中節のお師匠さんに花束贈呈

そして「野菊」と「浜辺の歌」を吹かれた方にも…
「お母様に差し上げて」と白い花束を渡されました

あぁ良かった、うれしい

こころに響いた篠笛をありがとう
と一言言いたくて
その人のそばに行きました

その人もわたしの言葉をよろこんでくれて…
気持ちがつながりました

見えないものの大切さをまた教えて頂き
感謝します

誘ってくれたすずさんにも

ありがとう

すずめのなみだは
刺繍の入った布巾でした


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