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花を植える


月命日の花を買いに花屋に行く。
仏花は一種類しかないからすぐに決まる、でも母に捧げる花はなかなか決まらない。
暑いからすぐに枯れてしまいそう。
あんまり手間のかからないラグラスにした。

ここは大きな花屋さん、外には鉢植えも並んでいる。
一ケース20ポット、植えるには花が少し時期を過ぎたのか…安くなっていた。

母がまだ元気なときは玄関先に沢山花の苗を植えていた。

ずっと前から
何か植えたい衝動にかられていが、わたしには気力がない。

ゼラニウム三鉢、ユーフォルビアダイアモンドスノー三鉢とちょこちょこ植えてみる、でもさみしそう。

一昨年植えた百合の球根は花を持たない、母がいなくなったのが分かるのか、小さな葉っぱだけ。

えぇい…お安い、買ってしまえ。
一ケースお持ち帰り…初めて見るペンタスという花の苗。
赤、ピンク、紫、白。

多いかなぁ?多いよなぁ。
でも仕方ない、玄関先に植えてみる。
なんとかおさまりそう、ラッキー。

夕方とは言え、猛暑日の暑い、暑い日。
蚊に刺されないように長袖、長ズボン、手袋をはめる。
首にはタオルを巻いても、汗は止まらない。

久しぶりに必死の思いで
子供のように
小さなシャベルで土を掘り
やっと作業を終了する。

しばらくは何もする気力が出ない、エアコンのなかで涼む。
シャワーを浴びても、浴びても汗はひかない。
この異常気象、どうにかしてよ…。

その晩はくたびれて
布団に潜り込むところまでは覚えているが
その後の記憶はない
目覚めたら眼鏡はすっ飛んでいる

七回目の月命日に間に合って良かった

ペンタスの花を見て
母は喜んでくれるだろうか



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