彼女のこと
ふと忘れていた
あなたのことを
いつも私のことを気にかけてくれたひと
わたしは自分のことで精一杯
母をなくして
立ち直れずに
あなたはわたしのことを妹みたいに可愛がってくれていた
ただわがままでわたしを振り回す人でもあり
姉ぶるあなたが目の上のたんこぶのような存在でもあった
気にかけてくれることはうれしいけれど
あなたの人生って何だったのか
自分の思い通りに生きてきたのか
不幸なのか
幸せなのか
晩年は姉に病院にぶち込まれ
自由にならない生き方を
強いられる
やさしいところもいっぱいあるのに
それが全て裏目に出る
母も彼の世に旅立つ前に
「あの子は病んではいない」と言っていた
わたしには分からない
中途半端な生き方なのか
他人の心の傷に塩を塗る言葉も平気で吐いてきた
それを許せないわたしの心が狭いのか
もういいよ
かわいそうな彼女
希望を持って生きようとしていたはずなのに
気づいたら連絡もして来ない
なんだか嫌な予感がする
不安になり連絡を取ると
元気にやっていた
来年の春頃には退院するらしい
確かに病院では籠の鳥
自由がないと言っていた
少しずつ自立の道を歩んでいくと
ひとりの孤独が不安になる
最悪なことを考えたわたしだった
またわたしの前からいなくなることが目に浮かぶ
遠くに暮らして
もう会うこともないかもしれないけれど
母がいなくなった時を思い出す
人間はいつか朽ち果てて
あの世の必ず還られければいけないから
話しが出来なくなる
心の中で話しをしても
それは一方通行なので返事が来ないと思い込む
本当は来ているはずなのにわたしは気が付かない
もっと注意深く耳を澄ませて
と教えてくれている
全てを選んで降りてくる
彼女もそんな生き方を
修行として
やってきたのか
もう置いて行かれる人生は嫌だよ
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