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鳩サブレー

「お母さんのいる御霊屋にお母さんの好きなものをお供えしなさい」

お社さんに言われた日

そうだよな

おやさまにあの世の花園まで

おんぶに抱っこで連れて行ってもらえたから

御礼をしないといけないね

「ノリかな、まだしてないの?それはダメだよ、御礼をしないと…」

とても気の利く友達に指摘されて気づく、ちょっとどんくさい私

母の好きなもの

その時は「すいか」しか思い浮かばない…

今はスイカの季節ではないし、そんなものどうやって持ってゆくの? 

頭の中はぐるぐると空回り

あっ、母は鳩サブレーが好きだった
それを持ってゆこう

「ばあちゃんは鳩サブレーが好きだったの?あんまり食べてなかったような感じがする」

と息子は言うが、母は自分が食べるより人にあげて喜ぶ人

天命庵の御神殿にある御霊屋にお供えをする

ここはやはりお社さんに直接、母に鳩サブレーを持って来たと言わないと

「あぁ、あの鳩サブレーはあなたが持って来たの?わかった、わかった。誰が持って来たのかと思った、お下がりを後で食べようと思ったの」

お供えをするのは良いけれど、母に持って来たものだから、言って良かった

みんな鳩サブレーが好きなんだ、お社さんも

天命庵の御霊屋にお母さんはいるの?
本当はいつでもどこでもいるんだよね

肉体がないって
そう言うことだよね

私ともいつでもどこでも一緒なんだから
さみしいけど、さみしくない
かなしいけども、かなしくない

いやいや、つらく苦しいことばかり

時々無性に涙があふれる

元気出せ、元気出せ

ノリかな

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